鳳凰単欉

鳳凰単欉（ほうおうたんそう）

鳳凰単欉は、中国茶の中でも烏龍茶に分類されるお茶です。広東省潮州市潮安区の鳳凰山一帯で栽培されている茶樹から作られています。

概要

鳳凰単欉の最大の特徴は、その多様な香りにあります。「単欉」とは、もともと「独立した一本の木」という意味で、かつては一本の木から採取した茶葉のみを使用して製茶されていました。しかし、1990年代以降、優良品種の苗を挿し木や接ぎ木で増やす技術が発達し、複数の木から採取した茶葉をまとめて製茶するようになりました。そのため、現在では一本の木から作られたお茶を「単株」と呼び区別しています。

品種ごとに製茶方法が異なり、同じ鳳凰単欉という名前でも、採取する品種や木が違えば、香りや味わいも大きく異なります。その種類は80種類以上にもなると言われています。

香りの例としては、クチナシのような香りの「黄梔香（こうしこう）」、キンモクセイのような香りの「桂花香（けいかこう）」、ブドウやモモのような果実の香りが特徴の「蜜蘭香（みつらんこう）」などが挙げられます。

広東省の基準では、鳳凰単欉は大きく分けて十種類の香型に分類されており、黄梔香型、芝蘭香型、玉蘭香型、蜜蘭香型、杏仁香型、夜来香型、姜花香型、桂花香型、肉桂香型、茉莉香型があります。また、香型に分類されない品種も多く存在し、鴨屎香（銀花香）、柚花香、紅蒂、宋種などが知られています。

嶺頭単欉（れいとうたんそう）

鳳凰単欉と製法が同じお茶に、「嶺頭単欉（れいとうたんそう）」があります。これは、広東省饒平県で1961年から生産が始まった新しい園芸品種です。別名「白葉単欉」とも呼ばれます。しかし、単欉の苗が流通しており、嶺頭村でも鳳凰単欉の品種が栽培・製茶されているため、嶺頭単欉とされていても、実際には鳳凰単欉の別の品種である場合もあります。

特徴

鳳凰単欉の水色は、オレンジ色を帯びた黄色です。上質なワインや草花、果物のような甘い香りが特徴で、口に含むとわずかな渋みを感じますが、同時に果物のような甘みが広がります。四季を通して収穫されますが、特に春先に収穫された茶葉の評価が高いとされています。収穫の際は、一芯二葉（新芽とその下の2枚の葉）で摘み取られます。

名称の表記

鳳凰単欉の茶葉は、その香りや味わいを表現するために、花の名称などを加えて呼ばれることがあります。表記方法には、「黄梔香単欉」のように「鳳凰」の部分を差し替える場合と、「鳳凰単欉黄梔香」のように鳳凰単欉の後ろに付加する場合があります。

また、「単欉」という言葉が使われているお茶でも、鳳凰単欉とは異なる種類のお茶も存在しますので、注意が必要です。

その他

日本では、「欉」の字が文字コードに含まれていないため、「叢」の字を代用して「鳳凰單叢」または「鳳凰単叢」と表記して販売されることがあります。

関連項目

烏龍茶
茶芸

参考文献

工藤佳治 (2007). 中国茶辞典. 勉誠出版. ISBN 9784585060574
棚橋篁峰 (2003). 中国茶文化. 紫翠会出版. ISBN 9784916007872
* 成美堂出版編集部 (2004). 茶葉の選び方、おいしい淹れ方が解る中国茶の楽しみ方BOOK. 成美堂出版. ISBN 9784415071336

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