鳳龍弐号

鳳龍弐号について

鳳龍弐号（ほうりゅうにごう）は、九州工業大学が開発した超小型人工衛星で、宇宙技術の最前線での実証実験と新たな技術の開発を目指しています。この衛星は、2012年5月18日に日本のH-IIAロケットの21号機によって打ち上げられ、しずく、アリラン3号、SDS-4とともに宇宙へ旅立ちました。なお、鳳龍は九州工業大学の校章をもとに名付けられたもので、地域の象徴ともいえる存在です。

開発過程

鳳龍弐号の開発は2006年初頭に始まった九州工業大学の衛星開発プロジェクトに端を発します。このプロジェクトのチームメンバーによって設計、製造、運用が進められました。当初、初号機の鳳龍は100周年を記念する形で製作される予定でしたが、インドからの打ち上げの延期が続いたため、2010年10月に後継機として鳳龍弐号がJAXAのH-IIAロケットに搭載されることとなり、開発は弐号機にシフトしました。

設計の目的

鳳龍弐号の設計には、さまざまな科学技術的な目的が設定されています。これらの目的は、以下の通りです：

• - 低軌道での発電試験：本衛星では300Vの発電を試みています。
• - 放電抑制用フィルムの劣化実証：宇宙環境での素材の持久性を評価するための試験です。
• - 帯電抑制電子エミッタフィルムの実証：ELF素子と呼ばれる新たな技術の性能を確認します。
• - 衛星表面電位計の実証：地上技術を利用し、衛星がどのように電気を発生させるかを測定します。
• - デブリセンサによる観測：宇宙デブリの観察を行うためのセンサーを搭載しています。
• - SCAMPの実証：画像撮影による科学実験及び地域貢献プログラムへの教材提供に関与します。

これらの目的は、宇宙での技術革新を促すとともに、地上での技術利用も視野に入れたものです。

運用状況

鳳龍弐号は、打ち上げ後の運用も順調に進められています。2012年7月8日には、主要な実験の一つである高電圧発電実験が成功裏に行われ、30分間で330Vから350Vという高電圧を発生させました。この数値は、宇宙空間における太陽光発電の中で過去最大級のものであり、従来の国際宇宙ステーションで記録された160Vを大きく上回るものでした。

このように、鳳龍弐号はただの衛星ではなく、宇宙技術の新たな可能性を広げるための重要な実験の場として機能しています。九州工業大学が手がけたこのプロジェクトは、宇宙での研究と開発の進展に寄与しており、今後の活動にも大いに期待が寄せられています。

参考文献

• - 九州工業大学公式サイト
• - JAXAのミッション情報
• - 宇宙科学における最新の研究成果

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