鳶職

鳶職（とびしょく）について

鳶職とは、日本の建設業界で主に高所作業を行う専門職のことを指します。一般的には、「鳶」「鳶工」とも呼ばれ、町場では基礎工事や簡単な岩積みなどの地業も担当します。そのため、鳶は「土工」と一括りにされることが多いです。高所で華麗に作業を行う姿から「現場の華」と称されることもあります。鳶職には「足場鳶」「重量鳶」「鉄骨鳶」「橋梁鳶」、「機械鳶」など、様々な専門分野があります。

鳶職の由来

鳶職の名称は、棟上の際に梁から梁へと飛ぶ姿から来ているとされています。代表的な道具には鳶口があり、この道具は町火消しや梯子支えなどで活用されてきました。鳶職のまた別名にあたる「遣り方衆」は、基礎工事業と関連があります。

歴史

鳶職の歴史は飛鳥時代まで遡ります。当時は「左官」や「右官」として区別されていたとされ、安土桃山時代には城を建設する穴太衆が後に曳き屋に転業した記録があります。江戸時代以降に鳶職という名称が広まりました。

本来の職域と役割

鳶職は主に木造軸組工法の家屋を建設する職人で、作業内容には地業、基礎工事、足場の設置、棟上、解体作業などが含まれます。また、町鳶は地域のコミュニティにとっての互助活動を支える重要な役割を果たしています。特に江戸時代には、町鳶が地域の祭りや消火活動など多方面で活動し、名声を高めていきました。

鳶職と火消しの関係

江戸時代における火消活動には、建築に熟練した鳶職が多く参与していました。火消しは単なる消火活動を超え、鳶と同義になり、歌舞伎など江戸文化においても象徴的存在として描かれることが多くなりました。ルーツが鳶職であるため、火消し文化を受け継ぎ、今でも伝統的な技術として認められています。

祭りと文化

多くの鳶職人は地域の神社に巣食い、神の依り代としての役割を担っています。木遣り唄は特に有名で、祭りや重要な行事には欠かせない存在です。かつては鳶職が中心になって祭りを盛り上げ、今もその伝統が続いています。

現代の鳶職

鳶職は、足場鳶、鉄骨鳶、重量鳶、送電鳶といった専門分野に分かれ、現代の建設業界で重要な役割を果たしています。足場鳶は現場での安全と作業の効率を確保し、鉄骨鳶は構造物の骨組みを固定し、重量鳶は大型機械の設置を担当しています。特殊な技術が求められるため、技能士試験も設けられています。

まとめ

このように鳶職は、日本の建設業における重要な職域であり、伝統的な文化や地域コミュニティとの結びつきが深い職人たちです。彼らの技術とその精神は、未来の世代にも引き継がれていくことでしょう。

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