鴨川源二:不屈の魂を持つ名伯楽
鴨川源二は、森川ジョージの漫画『
はじめの一歩』に登場する、鴨川ボクシングジムの会長です。
人物像
鴨川は、一見すると頑固で昔ながらの根性論を振りかざす人物に見えますが、その指導は科学的な理論に裏打ちされており、的確なアドバイスによって数々の名ボクサーを育ててきました。世界スーパーミドル級王者の鷹村守や、かつて東洋太平洋王者であった
宮田一郎の父親も彼の教え子です。試合では
セコンドとしても活躍し、カットマンとしても一流の腕前を誇ります。主人公の
幕之内一歩は、彼を最も尊敬し、深く信頼を寄せています。
鴨川は1917年1月15日生まれで山羊座のA型です。一人称は「ワシ」ですが、若い頃は「オレ」を使っていました。対戦相手のビデオを見て弱点を見抜くなど、戦略眼にも長けており、間柴戦ではその能力が大きく役立ちました。70歳を超えてもなお、そのセンスと実力は衰えることを知らず、ジムでは鷹村や一歩のようなハードパンチャーのミット打ちをこなし、時には酒の勢いで鷹村と組み合い、見事なカウンターを繰り出すこともあります。また、猫田との挨拶代わりの打ち合いでは周囲を驚かせ、猫田との喧嘩の仲裁に入った一歩を瞬時に制圧するなど、老齢を感じさせない機敏な動きを見せることもあります。
鴨川は自身の信念に忠実であるため、時に頑固になりやすく、頭に血が上りやすい一面もあります。ジム生に人気の猫田に嫉妬したり、愛称で呼ばれる浜に嫉妬するなど、不器用な一面も見られます。ジム生の度を越えた悪ふざけにはいつも激怒するものの、彼らの努力はきちんと評価しており、心の中では「孝行息子たち」と呼び感謝しています。一歩のことは、初期を除き常に「小僧」と呼び、厳しい練習を課しますが、その成長を温かく見守っています。ただし、一歩の優柔不断な性格にはいら立ちを覚えることも多く、宮田戦が流れて一歩がモチベーションを失った際には破門を言い渡したこともあります。また、宮田親子が一方的な理由で一歩との対戦をキャンセルした際には絶縁宣言をしましたが、内心ではかつての門下生である彼らを気に掛けています。
外出時にはカンカン帽とステッキを愛用しており、ステッキは足腰のためというよりも、鷹村たちの馬鹿騒ぎを鎮めたり、門下生を説教するために使っているようです。マルコム・ゲドーに関するビデオ映像を借りるために仙台の塚原ジムへ行った際、ゲドーによる八百長試合を知り激昂し、傷害事件を起こして逮捕されてしまいました。終戦直後に出会った女性・ユキと、「自分の育てたボクサーが世界を獲ったら会いに行く」と約束し、後に鷹村が世界チャンピオンになったことでその約束を果たしました。しかし、鴨川は「鷹村は生まれながらの天才であり、自身の拳を受け継ぐ者ではない」と考え、約束の半分しか達成できていないと語りました。
人気投票では、連載200回記念と500回記念でそれぞれ13位にランクインしています。
現役時代
鴨川は若い頃、戦中・戦後のボクシング界で活躍した
バンタム級の選手でした。本来は技巧派のアウトボクサーでしたが、アンダーソン戦では小手先の技術では通用しないと判断し、丸太をパンチで埋め込むという過酷なトレーニングで拳を鍛え、インファイトスタイルで戦いました。マネージャーの八木からは世界に出られる器だと評されていましたが、戦後は全盛期を過ぎており、世界挑戦は叶いませんでした。
猫田銀八、浜団吉とは戦中からの拳闘仲間でありライバルです。猫のマークを施した戦闘機に乗る猫田と共に軍服姿で描かれたこともあり、戦争中は航空部隊に所属していたと推測されます。アメリカの洗練されたボクシングを学ぼうとする姿勢を持ちながらも、侍のような愚直な根性でハードなトレーニングをこなしていました。
猫田と浜の敵討ちとなったラルフ・アンダーソン戦では、体格差を克服するため、自らの拳で丸太を打ち付けるという荒行を行い、強力なパンチを手に入れました。試合では、懐に飛び込んでボディブローを放つという単調な戦法で何度もダウンを喫しましたが、猫田のアドバイスと自身の勇気によって勝利を掴みました。この試合で出会った被爆者の娘・ユキと心を通わせましたが、猫田のユキへの想いに気付き、拳闘に生涯を捧げることを決意して彼女と別れました。
得意技(現役時代)
鉄拳
鴨川の「鉄拳」は、鉄の意志で鍛え抜かれた拳です。その威力はガードの上からでも腕に拳の痕を残し、アンダーソンの肋骨を粉砕骨折させ、内臓にまで深いダメージを与えました。その結果、それまでのダメージやスタミナの消耗をものともせず、ボディブロー2発でアンダーソンを撃沈させました。
担当声優
老年期
辻村真人 - ドラマCD『マガジンCDブック
はじめの一歩』
内海賢二 - テレビアニメ第1期・第2期
飯塚昭三 - テレビアニメ第3期
佐藤正治 - ゲーム『
はじめの一歩 FIGHTING SOULS』
青年期(戦後編)
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宮野真守
備考
鴨川のモデルはアベジムの会長、阿部幸四郎です。鷹村に贈った言葉「努力したものが全て報われるとは限らん。しかし! 成功した者は皆すべからく努力しておる!!」は
講談社週刊少年マガジン編集部に張り紙されています。この言葉は、努力が必ず報われるとは限らないが、成功者は例外なく努力しているという真理を説いたもので、アニメ版では「皆すべて努力しておる」と変更されています。