鴨神社 (高槻市)

鴨神社：歴史と神話の交差する高槻の社

大阪府高槻市赤大路町に鎮座する鴨神社は、古くから地域に深く根付く神社です。延喜式神名帳に記載されている式内社「三島鴨神社」の論社の一つとして知られ、その歴史は平安時代以前へと遡ります。

神々への崇敬：祭神と由緒

鴨神社の祭神は、大山積命、伊弉諾尊、伊弉冉尊、そして鴨御祖大神です。複数の文献によると、大山積命を主祭神とする説が有力ですが、三島鴨神社との関連性から、鴨氏の祖神を祀るとする説も存在します。当地が三島県主の勢力圏であったことも考慮すると、三島氏の祖神を祭神とする解釈も成り立ちます。興味深いことに、『新撰姓氏録』では三島県主と賀茂県主が共通の祖先を持つと記されており、祭神に関する考察をさらに深める上で重要な情報となります。

歴史の軌跡：創建から現代まで

創建時期は詳らかではありませんが、社伝によれば、この地を最初に開拓した鴨氏一族が創祀したと伝えられています。その後、渡来系の三島一族が勢力を拡大したことにより、「三島鴨神社」という別称も用いられるようになりました。

平安時代中期に編纂された『延喜式神名帳』には、「摂津国島下郡 三島鴨神社」として記載されており、これが鴨神社を式内社論社とする根拠となっています。天坊幸彦氏の研究によると、『大阪府神社明細帳』に記された記述から、延喜式に記載の三島鴨神社は鴨神社であると推測され、この説が広く受け入れられています。

しかし、式内社「三島鴨神社」の論社候補には、他に三島江の神社も挙げられています。郡域を考慮すると鴨神社が有力ですが、明確な特定には至っていません。『伊予国風土記』逸文に大山積神に関する記述があるものの、その記述から鴨神社を特定することは難しいと指摘する研究者もいます。

平安時代末期には、後白河天皇の中宮であった建春門院が皇子誕生を祈願したと伝えられています。祈願成就により高倉天皇が誕生し、これを祝して京都五条坂に三島神社が創建されたという逸話も残されています。ただし、建春門院の参詣先が「三島神」であったことから、三島江の三島鴨神社を指すと解釈する説もあります。

明治5年（1872年）には村社に列格し、昭和46年（1971年）には本殿と拝殿が新築されました。歴史の重みに耐え、現代に受け継がれる神社の姿は、地域の信仰と歴史を物語っています。

神階と記録

『日本三代実録』には、元慶8年（884年）12月21日に「三島神」が正六位上から従五位下に昇叙されたと記録されています。この「三島神」が鴨神社を指すとする説も有力です。

境内とアクセス

境内は、静かで落ち着いた雰囲気に包まれています。地域住民の信仰を集め、今もなお神聖な場所として大切に守られています。

所在地は大阪府高槻市赤大路町42-3です。最寄駅はJR京都線摂津富田駅で、駅から西北へ徒歩13分ほどの距離にあります。

まとめ

鴨神社は、その歴史と神々への信仰、そして地域社会との深い繋がりによって、現代においても重要な役割を担う神社です。式内社論社としての歴史的意義、そして数々の伝承は、訪れる人々に深い感銘を与え、日本の歴史と文化に触れる貴重な機会となるでしょう。

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