鶴林寺 (徳島県勝浦町)

鶴林寺（かくりんじ）

徳島県勝浦町にある鶴林寺は、高野山真言宗に属する寺院で、霊鷲山と名付けられた山の中腹に位置しています。この寺院は、弘法大師空海によって798年に設立されて以来、地域の信仰の中心となっています。地元では「お鶴さん」と親しまれており、特に遍路の人々からは広く知られています。

寺の特徴と歴史

鶴林寺は四国八十八箇所の第20番札所であり、その標高は495mで、八十八箇所中でも七番目の高さを誇ります。表参道は「へんろころがし」という急勾配の道で、遍路道の一つとして有名です。この寺院の本尊は地蔵菩薩で、その真言は「おん かかかびさんまえい そわか」です。また、鶴林寺には趣のあるご詠歌も存在し、地元の人々の間で詠まれています。

空海がこの寺を開いた時の伝説には、彼が修行中に見た白鶴が金色の地蔵菩薩像を守っていたという逸話があります。この出来事を受けて、空海は地蔵像を刻んで本尊としました。さらに、境内の雰囲気が釈迦が説法した霊鷲山に似ていることから、山号が霊鷲山と名付けられました。

また、鶴林寺は多くの天皇や武将からも信仰を受けており、平城天皇や源頼朝などがその名を連ねています。特に、本尊にまつわる伝説には、昔猟師が矢を放ち、本堂で地蔵菩薩に矢が刺さり血を流す事件があり、これが「矢負いの地蔵」として信仰されています。

境内の施設

鶴林寺の境内には、数多くの文化財や寺院が点在しています。山門は明治42年に建立され、仁王像と鶴像が出迎えてくれます。また、六角地蔵堂や忠霊殿、護摩堂、大師堂などもあり、それぞれが独自の歴史と魅力を持っています。本堂は慶長9年に建てられ、弘法大師にゆかりのある杉が立ち、三重塔は1823年に建立された美しい建造物です。

これらの施設を巡る際には、70段の石段を上り本堂に到着し、周囲の自然や歴史的な建物を楽しむことができます。山の頂上付近には聖天堂があり、そこからは素晴らしい景色を堪能することができます。

アクセスと周辺情報

鶴林寺へのアクセスは、バスや駐車場を利用して訪れることが可能です。周囲には多くの遍路向けの施設や、様々な文化財も存在しています。特に、水呑大師という名所が近くにあり、弘法大師に関連する興味深い伝説が残っています。

鶴林寺は、自然に囲まれた静かな場所で、歴史的な背景を持ちながらも、多くの信仰と訪問者を受け入れてきました。その美しい景色や歴史を感じながら、心の安らぎを得られる場所として、多くの人々に愛されています。

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