鶴田知也

鶴田 知也 - 小説家・農業指導者

概要

鶴田知也（つるたともや、1902年 - 1988年）は、日本の小説家および農業指導者です。特に、彼の代表作である小説『コシヤマイン記』が第3回芥川龍之介賞を受賞したことにより、その名は広まりました。鶴田は、戦前のプロレタリア文学運動から農民文学へと転向し、その後も多様な著作を残しました。

来歴・人物

幼少期

1902年、福岡県小倉市（現在の北九州市小倉北区）に生まれ、父親はクリスチャンでリベラルな思想を持つ高橋乕太郎でした。幼少期は母方の親戚に養子として迎えられ、学生時代には文学に親しむことになります。1915年に入学した福岡県立豊津中学校では、父の友人である葉山嘉樹との出会いが大きな影響を与えました。彼は文芸活動に傾倒し、特に北海道の開拓記録に感銘を受けています。

文芸活動の初期

1922年に豊津中学校を卒業した後、東京神学社に入学しましたが、その後信仰に疑問を持つようになり退学。その後は名古屋労働者協会に参加し、社会運動における活動を通じて文学の道を模索しました。1927年、彼は『子守娘が紳士を殴った』を文芸戦線誌に発表し、作家としての道を歩み始めました。

プロレタリア文学から農民文学へ

1933年、彼は代表作『コシヤマイン記』を発表し、これにより農民文学へと転向するきっかけを得ました。この作品は強い評価を受け、彼は本作に基づく新しい農民文学へと志向することとなりました。1930年代後半から1940年代初頭にかけて、彼は『摩周湖』『ピリカベツの駅逓』『ポプラの墓標』などの作品を発表し、農民や自然をテーマにした作品を多数残しています。

戦後の活動

戦争が進むにつれ、彼の執筆スタイルは変化し、国家体制に即した内容が増えました。戦後は一時、秋田に疎開し、農業指導者として活動する傍ら執筆も行ったが、次第に文筆活動から離れていきました。1954年には児童文学『ハッタラはわが故郷』が小学館児童文化賞を受賞。晩年には草木画家としても活躍し、いくつかの画集を出版しました。

主な作品

鶴田は、多様な文学活動を通じて数多くの作品を残しましたが、その一部は全集未収録という状況です。主な作品には以下が含まれます：

• - 『海鳴り』（1928年）
• - 『闇の怒』（1929年）
• - 『ペンケル物語』（1933年）
• - 『コシヤマイン記』（1936年）
• - 『土の英雄』（1944年）
• - 『ハッタラはわが故郷』（1954年）

最後の年

1988年4月1日、東京都中野区で肝不全により86歳で亡くなりました。彼の死後、故郷には顕彰碑が建立され、多くの人々にその業績を讃えられています。彼の作品と農業に対する貢献は、今なお多くの人々に影響を与え続けています。

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