鶴舞 (市原市)

千葉県市原市鶴舞の解説

鶴舞（つるまい）は、千葉県市原市南総地区に位置する大字です。この地は、明治初期に遠江国浜松藩から移封された井上家によって、鶴舞藩の藩庁が置かれたという歴史を持っています。

地理

鶴舞は、標高約100mの台地状の地形であり、かつては「桐木台」や「鶴舞台」と呼ばれていました。上総鶴舞駅のある南西側の池和田との間には、約40mの標高差があります。鶴舞には複数の飛地が存在し、主要な「本体」は、鶴舞交差点を中心に、北東に奥野、東に水沢、南西に田尾、西に池和田と接しています。また、北西では石川と複雑に入り組んだ境界を持ち、西方には石川、下矢田、江子田などに囲まれた飛地が点在します。さらに、鶴舞大蔵屋団地の一部や志代坊堰の周辺、千葉県立市原特別支援学校つるまい風の丘分校の敷地も鶴舞の飛地となっています。

歴史

地名の由来

「鶴舞」という地名は、鶴が翼を広げたような地形に由来するとされています。また、「鶴舞谷」という地名がもともとあり、そこから桐木台全体を「鶴舞」（鶴舞台）と呼ぶようになったという説もあります。

沿革

近世

江戸時代、この地は市原郡石川村の一部であり、桐木原または桐木台と呼ばれる荒蕪地でした。

近代

1869年（明治2年）2月、浜松藩主であった井上正直が上総の新領地に移封され、埴生郡長南宿に仮藩庁を設置しました。しかし、藩士とその家族2000人以上が移住するには長南が手狭であったため、荒蕪地の桐木原に注目し、庁舎建設を願い出ました。1870年（明治3年）4月には、藩庁や藩士の住居が完成し、陣屋でありながらも「鶴舞城」と公称されました。このことから鶴舞は「日本最後の城下町」と称されることもあります。しかし、1871年（明治4年）の廃藩置県により鶴舞藩は廃止されました。藩庁跡地には小学校（現在の市原市立鶴舞小学校）が建てられました。

鶴舞は「本格的な町作りが行われた」と評され、1889年（明治22年）の『上総国町村誌』には「村は市街たり」と記されています。同誌によれば、人口は1732人（1886年時点）で、市原郡役場鶴舞出張所や千葉警察鶴舞分署が置かれていました。

1889年（明治22年）の町村制施行に伴い、周辺の村と共に鶴舞村が発足し、1891年（明治24年）1月には鶴舞町となりました。これは郡内で2番目に町制を施行した町です。1910年（明治44年）には、市原郡立市原実科高等女学校（後の千葉県立市原高等女学校、鶴舞高等学校、鶴舞商業高等学校など）が設置されました。

現代

1954年（昭和29年）の昭和の大合併により、南総町の一部となり、1967年（昭和42年）に市原市へ編入されました。

年表

1870年（明治3年）：鶴舞城が鶴舞（桐木台）に完成。
1871年（明治4年）：廃藩置県により鶴舞藩が廃藩。
1889年（明治22年）4月1日：町村制施行により、鶴舞村発足。
1891年（明治24年）：鶴舞村が町制施行し、鶴舞町に。
1954年（昭和29年）11月15日：鶴舞町が合併し、南総町の一部となる。
1967年（昭和42年）10月1日：南総町が市原市に吸収合併され、市原市の一部となる。

世帯数と人口

2017年（平成29年）11月1日現在の世帯数と人口は以下の通りです（具体的な数値は省略）。

通学区域

市立小学校・市立中学校及び県立高等学校の通学区域は以下の通りです（具体的な学校名は省略）。

施設

鶴舞には、以下のような施設があります。

旧・千葉県立鶴舞桜が丘高等学校
千葉県立市原特別支援学校つるまい風の丘分校
市原市立鶴舞小学校
鶴舞看護専門学校
千葉県循環器病センター
市原土木事務所鶴舞出張所
鶴舞郵便局
鶴舞神社
日枝神社
西蓮寺
千葉県立笠森鶴舞自然公園（県立自然公園）
鶴舞公園

交通

鉄道

地区の最寄駅は、小湊鉄道線の上総鶴舞駅です。ただし、駅は鶴舞ではなく、池和田に所在しています。1925年（大正14年）の開業当時の駅名は鶴舞町駅でしたが、自治体としての鶴舞町が消滅した後、1958年（昭和33年）に上総鶴舞駅に改称されました。

バス

近隣の田尾には、市原鶴舞バスターミナルがあります。

道路

千葉県道284号鶴舞牛久線
千葉県道171号加茂長南線
近隣の山小川には、首都圏中央連絡自動車道（圏央道）の市原鶴舞ICがあります。

参考文献

中島義一「明治前期の町 上総の場合」『歴史地理学紀要』第11号、歴史地理学会、1969年。
小沢治郎左衛門『上総国町村誌 第一編』1889年。
千葉県市原郡教育会『千葉県市原郡誌』千葉県市原郡、1916年。

関連項目

鶴舞 (曖昧さ回避)
鶴舞町

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