実科高等女学校

実科高等女学校とは

実科高等女学校は、明治時代に設立された女子を対象とした中等教育機関です。当時の社会情勢と女子教育のニーズに応える形で、実生活に必要な知識や技能を習得させることを目的としていました。具体的には、家事、裁縫といった実用的な科目を教育の中心に据え、当時の女子教育において重要な役割を果たしました。

設立の背景

日露戦争後、女子教育への関心が高まるにつれて、多くの女子教育施設が設立されました。しかし、その多くは、実用的な技能教育に偏っていました。こうした状況を鑑み、より体系的な実用教育を行う機関として、1910年（明治43年）に実科高等女学校が制度化されました。

実科高等女学校の設立は、同年10月25日に改正された高等女学校令によって定められました。この改正により、実科のみを置く高等女学校には「実科」の文字を冠することが義務付けられ、実科高等女学校としての名称が正式に定められました。

実科高等女学校の制度が確立する以前には、男子の中等教育機関である中学校にも実科を設ける動きがありましたが、こちらは普及することなく廃止されました。

教育内容と特徴

実科高等女学校への入学資格は、尋常小学校卒業程度の学力を有する12歳以上の女子でした。修業年限は原則として4年間でしたが、高等小学校の修了程度によって2年または3年に短縮される場合もありました。教育内容としては、家事や裁縫などの実用的な科目が中心で、都市部に多かった高等女学校とは異なり、農村部での女子教育を担っていました。

制度の終焉

実科高等女学校の制度は、太平洋戦争中の1943年（昭和18年）1月21日に、中等学校令の公布に伴い廃止されました。この制度改革によって、高等女学校、中学校、実業学校の3種が統合され、中等学校（旧制）として再編されました。

関連項目

高等女学校
旧制中学校
実業学校

外部リンク

文部科学省/白書
学制百年史、学制百年史 資料編 - ウェイバックマシン（2006年9月10日アーカイブ分）
学制百二十年史 - ウェイバックマシン（2006年9月15日アーカイブ分）

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