鷲別岳

鷲別岳（室蘭岳）：室蘭のシンボル、雄大な自然と歴史が息づく山

鷲別岳は、北海道登別市と室蘭市の境界に位置する標高911mの山です。国土地理院の地形図では「鷲別岳（室蘭岳）」と表記され、地元では室蘭岳の名前で親しまれています。北海道百名山にも選定されており、その豊かな自然と歴史、そしてアクセスしやすい登山ルートから、多くの登山愛好家に人気です。

山の概要と水源

山頂は登別市と室蘭市の境界にあり、室蘭市側に登山口があります。山麓には室蘭市が整備した「室蘭岳山麓総合公園」（通称だんパラ公園）が広がり、キャンプ場や運動広場など、レジャー施設が充実しています。登山口には昭和9年建立の石碑があり、歴史を感じさせます。山頂には一等三角点「鷲別岳」が設置されています。

鷲別岳を源流とする幾つかの河川は、室蘭市の水道水や工業用水の水源として重要な役割を果たしています。これらの水源地を守る活動も、地域住民にとって重要な課題となっています。

名称の由来と歴史

鷲別岳という名前は、この山のふもとを流れる鷲別川に由来すると考えられています。古くからこの地域に存在した山で、慶応3年(1867年)刊行の『官板実測日本地図』には「モロラン岳」と記載されているなど、歴史的な文献にも登場します。寛永11年(1799年)の『東遊奇勝』にも「モロラン山」として記録されており、室蘭という地名と深い繋がりがあることがわかります。

登山ルートと山小屋

鷲別岳への登山ルートはいくつかあります。室蘭市のだんパラ公園内にあるだんパラスキー場から登るコースが一般的で、さらに新道と旧道の2つのルートがあります。室蘭市水元からのコースも知られています。また、カムイヌプリから鷲別岳へと縦走するルートもあります。

だんパラスキー場からのコースには、登山口からすぐの場所に山小屋「白鳥ヒュッテ」がありました。1949年(昭和24年)に建てられたこの山小屋は、長年登山者の休憩所として利用されてきましたが、老朽化や周辺施設の整備により、2021年3月末をもって廃止されました。現在は市民団体に譲渡され、新たな活用が検討されています。白鳥ヒュッテの近くには水天宮があり、元旦には甘酒が振る舞われるなど、地域住民に親しまれる場所です。

山頂からの眺望と周辺環境

山頂からは、太平洋や室蘭市街地を一望できます。天候の良い日には、羊蹄山、駒ヶ岳、恵山など、遠くの山々まで見渡すことができます。北面の裏沢は沢登りのゲレンデとしても利用されており、多様な楽しみ方ができる山です。

行事と周辺の山々

室蘭山岳連盟主催のスキー大会（3月上旬）や山開き（5月中旬）といったイベントも開催されています。鷲別岳周辺には、カムイヌプリ、来馬岳、オロフレ山など、多くの山々が連なり、登山を楽しむには最適な環境です。

室蘭岳山麓総合公園

鷲別岳山麓にある室蘭岳山麓総合公園（だんパラ公園）は、1989年（平成元年）3月に供用開始されました。23.5haの広大な敷地には、キャンプ場、運動広場、遊具広場、野外ステージ、体育館などの施設があり、自然の中で様々なアクティビティを楽しむことができます。

鷲別岳は、自然豊かな環境と歴史、そして充実した登山ルートを備えた、魅力的な山です。室蘭市を代表する山として、これからも多くの人々に親しまれ続けることでしょう。

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