鷲塚城

鷲塚城について

鷲塚城（わしづかじょう）は、愛知県碧南市に位置し、かつては三河国碧海郡鷲塚村に存在していた歴史的な城です。この城は「三河鷲塚城」とも呼ばれ、その由来や築城の背景には興味深いエピソードが残されています。

概要

鷲塚城は、衣ヶ浦の南端、特に東浦と呼ばれる地点に位置した半島部分に築かれました。浸食によって形成された2つの半島状の台地にまたがる形で立地し、周囲の地形を活かした防御力が特徴です。西側の丘は「水野氏の馬場」として知られ、居館は東側に存在したとされます。『旭村誌』によれば、東の曲輪のサイズは東西で約91メートル、南北で約273メートルあり、周囲の低地からは約7メートルの高低差があります。この地域には「城山」や「尾城」という地名が今も残り、当時を偲ばせる要素となっています。

歴史

鷲塚村はかつて吉良氏の支配下にありましたが、1561年に吉良義昭が徳川家康に敗れると、以降は家康の治める土地となりました。そして翌1562年、家康の命により鷲塚城が築城されました。その後、刈谷城主である水野忠政の九男、水野忠重がこの城へ仕官し、1563年からの三河一向一揆において戦功を挙げました。この功績から、忠重は翌1564年に鷲塚城の城主に就任しました。この城は、のちに備後福山藩の初代藩主となる水野勝成の生誕地であったとも言われています。

忠重が城主としての任期を終えたのは1580年でした。その後、信長の家臣である佐久間信盛が追放され、刈谷城が信長に与えられることとなります。鷲塚城は1590年まで代官が置かれる体制が続きましたが、その後廃城となりました。この年、家康は関東へ移封され、三河地域は彼の信任を受けた田中吉政に与えられることとなりました。

遺構と現状

近年、鷲塚城は宅地化が進み、かつての城の遺構はほとんど失われてしまいました。現在、城の跡地付近には尾城公園が整備されており、浸食谷がその西側に位置します。城の跡地周辺は伊勢湾台風の復興工事に伴い、大量の土砂が削り取られたことも影響して、往時の面影を残すものは全くありません。

アクセス方法

鷲塚城跡を訪れるには、名鉄三河線の碧南中央駅から出ている「くるくるバス」のパープルコースで「神有町」まで行き、そこから徒歩約2分の距離にあります。過去の歴史に思いを馳せながら、この場所を訪れるのも良いでしょう。

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鷲塚城は、徳川時代の城としての役割を果たしていたことや、その歴史的な背景から、愛知県の城郭の中でも注目される存在です。親しみやすい公園として整備された場所を訪れることで、その歴史を少しでも感じ取ることができるでしょう。

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