鷹之台カンツリー倶楽部

千葉県千葉市花見川区に広がる鷹之台カンツリー倶楽部は、日本のゴルフ史において重要な位置を占める名門コースです。その起源は古く、1930年（昭和5年）に大和スポーツ協会によって設立された「鷹之台ゴルフ倶楽部」に遡ります。当初、千葉県千葉郡犢橋村の山林に建設が計画され、清木一男氏が設計を担当しました。1932年（昭和7年）6月には18ホールが完成し、開場。当時の日本国内では最長距離を誇るコースとして知られ、日本プロゴルフ選手権大会をはじめとする主要な競技の開催地となりました。

しかし、太平洋戦争の戦況悪化に伴い、1945年（昭和20年）3月、ゴルフ場は閉鎖を余儀なくされます。終戦後、コースの一部は農地として開拓され、クラブハウスには陸軍が駐屯、空襲にも見舞われるなど、荒廃の一途を辿りました。開拓農民による占拠もあり、ゴルフ場としての機能は完全に失われ、自然消滅に近い状態となりました。

戦後、ゴルフ場の再建を目指す動きが起こり、1952年（昭和27年）10月1日、「社団法人鷹之台カンツリー倶楽部」が設立されます。コース設計は、後に日本のゴルフコース設計の第一人者となる井上誠一氏に依頼され、同年11月に起工式が行われました。しかし、建設助成金を巡る千葉県からの指導により、計画を「千葉牧場」の建設名目とせざるを得なくなるなど、再建の道のりは困難を極めます。さらに、設計方針を巡って井上氏と倶楽部の間で対立が生じ、工事の途中で設計者は和泉一介氏に交代するという異例の事態となりました。

こうした曲折を経て、1954年（昭和29年）2月10日、インコースのみがゴルフ場として、アウトコースは牧場という変則的な形で仮開場にこぎつけます。当時のクラブハウスは牧舎を模した建物で、敷地内には80頭もの緬羊が放牧されていたという牧歌的なエピソードも伝えられています。同年5月23日、ようやく18ホールのゴルフ場が完成し、正式に開場しました。現在のコース面積は約693,000平方メートル（約209.6万坪）に及びます。

鷹之台カンツリー倶楽部は、開場以来、国内最高峰のトーナメントである日本オープンゴルフ選手権競技の開催コースとして度々選ばれています。これまでに1958年（昭和33年）、1961年（昭和36年）、2000年（平成12年）、2011年（平成23年）と、計4回の日本オープンを開催。特に1961年の大会では、日没後のプレーオフがヘッドライトの照明の下で行われるという、ゴルフ史に残る伝説的な一戦が繰り広げられました。また、2000年の日本オープン開催前には、井上誠一氏の設計思想をより忠実に再現するためのコース改修が行われています。

コースは戦略的な林間コースであり、18ホール、パー72、7,102ヤードのチャンピオンシップコースです（コースレート74.0）。グリーンはベントとコウライの2グリーン制を採用。プレースタイルはキャディ付きの歩行が基本となっています。20打席、250ヤードの練習場も併設されており、来場者はプレー前に十分な調整が可能です。休場日は毎週月曜日と年末年始（12月31日、1月1日）です。

クラブ運営においては、歴代理事長に鉄鋼業界の重鎮が多く名を連ねてきたことでも知られ、経済界との深いつながりを持つクラブとしても認識されています。現在の理事長は三村明夫氏です。

アクセス面では、公共交通機関を利用する場合、京成本線京成大和田駅から徒歩約7分と駅からのアクセスが良好です。車を利用する場合も、東関東自動車道千葉北IC、首都高速湾岸線湾岸習志野IC、京葉道路武石ICなど、主要な高速道路ICから比較的短時間でアクセスが可能です。

波乱に富んだ歴史を経て、鷹之台カンツリー倶楽部は今もなお、日本のゴルフ界を牽引する名門コースとして、多くのゴルファーに親しまれています。

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