鷹巣温泉

鷹巣温泉

概要

福井県福井市蓑町、かつて越前国と呼ばれた地に湧出する温泉が、鷹巣温泉（たかすおんせん）です。越前海岸沿いに位置するこの温泉は、福井市内にありながらも珍しい高温の自家源泉を有している点が大きな特徴です。さらに特筆すべきは、その貴重な源泉を最大限に活かした利用法にあります。鷹巣温泉は、福井市内で唯一、加水や加温、循環ろ過を一切行わず、さらに消毒剤（塩素）も使用しない、正真正銘の源泉掛け流しを楽しむことができる稀有な存在です。この独自の利用形態が、多くの温泉愛好家から注目を集めています。

泉質

鷹巣温泉の泉質は、アルカリ性単純温泉（アルカリ性低張性高温泉）に分類されます。湧出したそのままの状態で利用されるため、加水や加温は一切行われていません。また、飲用も可能とされています。アルカリ性特有の肌触りの良さが期待できる泉質であり、高温の源泉が豊富に湧き出ていることから、湯量も十分に確保されています。自然の恵みをそのままに感じられる、純粋な温泉体験ができるのが鷹巣温泉の大きな魅力です。

温泉街と主な施設

鷹巣温泉は、風光明媚な越前海岸沿いに立地しており、この地域の観光拠点の一つとなっています。温泉地の中心施設として知られているのが、国民宿舎「鷹巣荘（たかすそう）」です。越前海岸の豊かな自然に囲まれたこの施設は、長年にわたり多くの利用者に親しまれてきました。

鷹巣荘は、その歴史の中でいくつかの変遷を経験しています。2011年当時、築後42年が経過し施設の老朽化が進んでいたことから、福井市は2013年度以降に既存の建物を解体する方針を公表しました。市は源泉の権利を保有している立場から、今後の施設のあり方について、市が新たな入浴施設を整備して指定管理者に運営を委託する手法や、施設建設に民間資本を導入する手法など、複数の選択肢を提示しました。これに対し、地元住民などからは、温泉施設の存続を求める強い要望が寄せられました。市はこれらの意見を踏まえ、さらなる検討を重ねることを表明しました。

こうした検討の結果、福井市は鷹巣荘の営業を2013年3月31日をもって一旦終了することを決定しました。その後、施設の改修工事を実施し、装いを新たに翌2014年10月28日に営業を再開しました。かつては福井市の公営施設として運営されていましたが、より効率的で質の高いサービス提供を目指し、運営形態の見直しが進められました。その結果、公募型プロポーザル方式を経て、2020年度（令和2年度）に民営化されることとなりました。これにより、施設の運営には民間のノウハウが導入され、更なる魅力向上への取り組みが期待されています。

アクセス

鷹巣温泉へのアクセスは、主に鉄道とバス、または自動車を利用する方法があります。

鉄道とバス: JR福井駅からは、路線バスを利用してアクセス可能です。JR福井駅前のバス乗り場から出発する路線バスに乗車し、所要時間は約50分です。
自動車: 北陸自動車道を利用する場合、福井北インターチェンジ（IC）で降り、そこから一般道を経由してアクセスします。所要時間は約45分です。
* 路線バス: 京福バスの15番線、鮎川・小丹生線に乗車し、「みの浦」バス停で下車するのが便利です。

越前海岸の景勝地に近い立地であり、周辺観光と合わせて訪れるのも良いでしょう。

鷹巣温泉は、その希少な源泉利用法と越前海岸の美しい景色と共に、訪れる人々に癒やしと安らぎを提供しています。施設の歴史的な変遷を経て、現在も地域に根差した温泉として大切にされています。

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