鷹見一幸

鷹見一幸：警察官から人気ライトノベル作家へ

鷹見一幸氏は、1958年生まれの日本の作家であり、元警察官です。静岡県出身で、電撃文庫や角川スニーカー文庫を中心に多くの作品を発表し、ライトノベル界で確固たる地位を築いています。警察大学校卒業という経歴も持ち、その経験が作品に独特のリアリティを与えていると言えるでしょう。

隠された合作とペンネーム

鷹見一幸というペンネームは、実は兄弟での合作から生まれたものです。当初は、兄がアニメ雑誌編集者、弟が警察官という立場でした。そのため、「榎野彦」「邦彦」「竹一本」など、複数のペンネームを使い分けて執筆活動を行っていました。初期の作品では、兄弟で原案や執筆を分担し、互いに意見交換しながら作品を仕上げていたようです。公務員の副業禁止規定を回避する目的もあったと推測されます。

弟である鷹見一幸氏が中心となり、「時空のクロス・ロード　ピクニックは終末に」で電撃文庫にデビュー。その後、「でたまか」を角川スニーカー文庫で発表し、人気作家としての道を歩み始めます。健康上の問題により警察を退職した後、専業作家となり、現在に至ります。一般的に「鷹見一幸」といえば、弟の方を指すのが一般的です。

数々の賞に輝く才能

鷹見一幸氏の作品は、高い評価を受けており、多くの賞にノミネート、受賞しています。

1999年8月、第6回電撃ゲーム小説大賞にて「ピクニックは終末に」(榎野英彦名義)が候補ノミネート
2000年、第7回歴史群像大賞にて「大日本帝国海軍第七艦隊始末記」(柊野英彦名義)が奨励賞受賞
2019年7月、第50回星雲賞にて、『再就職先は宇宙海賊』(鷹見一幸名義)が参考候補にノミネート

これらの受賞歴は、鷹見一幸氏の作品が持つ高いクオリティと魅力を証明しています。

兄・榎野英彦との軌跡

兄である榎野英彦氏は、みのり書房の月刊誌編集スタッフ兼ライターとして活動していました。代表作として「大日本帝国第七艦隊」があります。その後は会社員として働きながら、ネット上で「花筏」や「ENOKINO」といったハンドルネームで活動していました。

兄弟は初期の執筆において、互いに作品を共有し、意見を交換しながら執筆していました。しかし、兄はその後は表立った執筆活動を控え、弟が中心となって「鷹見一幸」名義で作品を発表するようになりました。『銀河乞食軍団』シリーズのリメイクでは、再び兄弟で協力し、プロットや設定を構築。文章の多くを兄が執筆する体制で制作を進めていましたが、兄の病気により執筆活動は中断、そして兄は亡くなりました。現在「小説家になろう」サイトにある榎野英彦名義の作品は、弟が兄の未発表作品を投稿したものです。

独特の作風と「圧縮描写」

鷹見一幸氏の作風は、独特のものです。「情報を取捨選択して優先順位をつけて読者の興味をそらさないよう簡潔に書いていく」という文章の書き方を「圧縮描写」と名付け、提唱しています。

有名作品のオマージュを巧みに取り入れる
長編シリーズでは、将棋のような群像劇形式
「性格がいいヤツ」「イイ性格のヤツ」「健気な女子」といったキャラクターを好んで使用
弱小な主人公が創意工夫で強敵に立ち向かう物語を好む
理路整然とした軽快な文章で物語を進める

その一方で、映像化には不向きな作品が多いのも特徴です。メディアミックス展開も少ないため、メディア露出は少ないものの、文章の魅力に惹かれるファンが多く、「気が付くと売れているライトノベル作家」という異名を持つほどです。

代表作

鷹見一幸氏は、電撃文庫、角川スニーカー文庫、角川つばさ文庫などで多くの作品を発表しています。代表的な作品として以下が挙げられます。

電撃文庫
時空のクロス・ロード
ガンズ・ハート
小さな国の救世主
リセット・ワールド
ご主人様は山猫姫

角川スニーカー文庫
でたまか
銀星みつあみ航海記
ネオクーロン
会長の切り札
地球の切り札
召喚主は家出猫
艦隊これくしょん -艦これ- 一航戦、出ます！

角川つばさ文庫
飛べ! ぼくらの海賊船
小説 はやぶさ/HAYABUSA|はやぶさ_HAYABUSA

その他、角川書店、ハヤカワ文庫などからも作品を発表しています。

関係者との連携

鷹見一幸氏は、他の作家やクリエイターとのコラボレーションも積極的に行っています。特に、ゲーム作家である銅大氏とは、戦闘考証などで協力関係にあり、作品の後書きで謝辞を贈られることが多いです。「でたまか」に登場するドーダイ・ゲーマスタの名前は、銅大氏をモデルにしていると言われています。

まとめ

警察官という異色の経歴を持つ鷹見一幸氏は、独自の文章表現と魅力的なストーリーで、多くの読者を魅了する人気ライトノベル作家です。兄弟との共作から始まり、数々の賞を受賞、そして現在も第一線で活躍を続ける氏の今後の作品にも期待が高まります。

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