鷺とり

鷺とり（さぎとり）

概要

『鷺とり』は、古典落語の一つで、上方落語を起源とし、東京では「雁釣り」や「雁とり」とも呼ばれています。この噺の内容は、金儲けを目的に鳥を捕まえようとして失敗する男の騒動に焦点を当てています。1791年に出版された笑話本『鳩灌雑話』が原話とされていますが、似たような民話が全国に存在し、例えば『鴨とり権兵衛』としても知られています。また、主要な演者としては初代桂春団治や、東京の6代目三遊亭圓窓、4代目柳家つばめなどが名を連ねています。この噺は、現代でも多くの愛好者に親しまれています。

『商売根問』という別の演目では、男が様々な方法で金を儲けようと奮闘しますが、これもまた失敗の連続です。その中で、雀を捕まえようとするエピソードが共通しています。

あらすじ

この噺は、ある隠居が怠け者の男に対して説教をするところから始まります。隠居は「お前は今どこにいる？」と尋ねますが、男は恥ずかしげもなく様々な言い訳をし、仕事をしていないことを誤魔化します。隠居が食い扶持の話をすると、男は「金儲けの手段を持っている」と自信満々に告白します。彼は以前、鳥屋に売るために雀を捕まえようとしていたことを思い出し、その詳細を語ります。

男はスズメを捕まえるために、少しの米を餌にして近所の寺で撒きます。そして、流れ着いた異国のスズメを見ながら、他のスズメを引き寄せます。しかし、最後にはうまくいかず、逃げられてしまうのです。こうした失敗を通じて、男は新たな挑戦へと移ります。

次はウグイスを捕まえる計画です。ウグイスが頻繁に訪れる家の台所を借りて、彼は手を伸ばしてウグイスを捕まえる算段をしますが、何ともお粗末な結果に終わります。彼の失敗談は続き、河童を捕まえようとしたり、ネズミを捕まえるための道具を売り歩いたりする様子が描かれます。

最後に彼が本命のサギを捕まえたいと語ります。その計画は、池や田で餌をついばんでいるサギに近づいて呼びかけ、気づかれないように近づくというものです。隠居は、サギが多くやってくる場所を教えます。

さあ夜になると、男は池に忍び込みます。そこで何羽ものサギが眠っている姿を見つけ、計画通りに捕まえることに成功します。しかし、獲物を腰に差し込みすぎてしまった結果、事態は予想外の展開を迎えます。サギたちが目覚め、一斉に羽をばたつかせることで、男は宙に舞い上がります。彼は必死に何かにしがみつきますが、それが実は寺の五重塔でした。

周りには僧侶や野次馬が集まり、大騒ぎに。数人の僧侶が布団を広げて男を助けようとします。その結果、男は布団に飛び込むものの、逆に弾かれて再度塔に戻ってしまうのです。

このように『鷺とり』は、男の小さな計画から大きな失敗へと繋がるコミカルな展開が魅力であり、様々な演者によって異なるスタイルで楽しむことができます。この噺の最後には、男の奇妙な運命とともに笑いを誘う工夫が隠されています。

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