鹿乗川

鹿乗川（かのりがわ）

鹿乗川は、愛知県岡崎市に源を発し、安城市を経て碧南市で矢作川に合流する一級河川です。矢作川水系の支流として、地域の水田や人々の生活を支えています。

地理

鹿乗川は、岡崎市立北野小学校の北側付近、水田地帯から流れ出します。碧海台地の東側に広がるかつての矢作川の氾濫原を蛇行しながら南下し、安城市桜井町で支流の西鹿乗川と合流します。その後も、周辺の水路からの水を幾筋も取り込みながら流れを下り、碧南市鷲林町付近で矢作川へと合流します。

支流

西鹿乗川：延長7.4km、流域面積12.92km2

流域自治体

愛知県：岡崎市、安城市、西尾市、碧南市

歴史

鹿乗川流域は、古くから人々の生活の場として利用されてきました。しかし、その一方で、水害との闘いの歴史でもあります。

水害の歴史

江戸時代以降、周辺地域では農地開発が積極的に進められました。しかし、矢作川が天井川化したことで鹿乗川の排水が困難となり、流域では頻繁に水害が発生するようになりました。矢作川との合流点は、水害対策のために幾度となく下流へと移されています。当初、江戸時代初期の合流点は現在の安城市木戸町付近でしたが、天保9年（1838年）には水路を開削して安城市米津町付近へ、さらに昭和初期にも2度にわたり合流点が下流へと移動しました。

近年でも、昭和36年梅雨前線豪雨（1961年）、昭和46年8月洪水（1971年）、東海豪雨（2000年）、平成20年8月末豪雨（2008年）など、大規模な浸水被害が繰り返し発生しています。特に昭和46年8月洪水では、流域の3,900ヘクタール余りが浸水し、床上・床下浸水は合わせて5,889戸に達しました。その後も数年ごとに浸水被害が発生したため、1988年（昭和63年）以降、下流域から河川改修が実施されています。

治水対策

流域住民を水害から守るため、様々な治水対策が講じられてきました。1968年（昭和43年）には木戸町に樋門と排水機が設置され、2002年（平成14年）からは鹿乗川排水機場の供用が開始されました。さらに、2013年（平成25年）5月からは岡崎市筒針町で岡崎鹿乗排水機場が運用を開始し、排水能力の強化が図られています。

鹿乗川流域遺跡群

鹿乗川の流域からは、弥生時代から江戸時代にかけての複合遺跡が発見されています。かつては字ごとの遺跡名で呼ばれていましたが、近年の発掘調査・研究により、弥生時代から古墳時代にかけての遺跡は同一のものである可能性が高まりました。そのため、現在ではこれらを総称して「鹿乗川流域遺跡群」と呼んでいます。この遺跡群は、流域における人々の生活の痕跡を今に伝える貴重な文化遺産です。

外部リンク

* 国土交通省 テレメータ水位（鹿乗川）

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