鹿児島市交通局9500形電車

鹿児島市交通局9500形電車について

鹿児島市交通局9500形電車は、1995年から2000年にかけて製造された路面電車の一つで、その主要機器は旧800形電車から流用されています。この形式名は製造が始まった1995年に由来しており、鹿児島市電の主力車両の地位を確立しています。

車両の歴史と設計

もともと800形電車は1960年代に導入され、32両が運行されていましたが、1985年には伊敷線と上町線の廃止に伴い、半数以上が運休する結果となりました。残された15両は1986年から冷房改造を施され、台車も変更されて使用されていましたが、老朽化が進行。そのため1995年から、これらの車体更新を実施することとなりました。

9500形電車のデザインは特徴的で、車両前面には大きな一枚窓が設けられ、内部には方向幕が設置されています。側面は、そこを流れる風や景色を楽しむために窓が大きくなり、装飾的な窓は取り除かれました。駆動方式は吊り掛け式で、旧世代の抵抗制御を用いているため、現代の車両と比較すると技術的には古い部類に入りますが、それが逆に独特の魅力となっています。

更新作業は、これまでの800形の製造を行った大阪市電2601形の製造元でもあるアルナ工機で行われ、995年から2000年にかけて15両全ての更新が完了しました。興味深い点は、流用されたのは機器のみで、車体は鹿児島で解体され、残った車体のいくつかは倉庫として利用されたりしましたが、最終的には2015年4月に利用終了となりました。

塗装とデザイン

9500形の塗装は当初、小豆色をベースにしたデザインでしたが、1997年には鹿児島市のいおワールドかごしま水族館の開館に合わせて、9700形と同じく水色の帯が入った新たな外観に変更され、側面にはイルカのイラストが描かれました。現在ではほとんどの車両が広告塗装ですが、広告がない際には標準塗装として黄色と緑色のツートーンカラーに白帯が使用されることがほとんどです。さらに、9500形の車両はそれぞれ若干のデザインの違いがあり、落成年によって特徴的な違いが見られます。

NexTram KIRIKOの導入

2019年4月には、9500形9513号を改造した「NexTram KIRIKO」が新たに登場しました。この電車は鹿児島の観光地としての魅力を増進させる目的で導入され、外装にはロイヤルブルーを基調とし、部分的にゴールドやベンガラ色が施されています。内装では木材を使用することで温かみを感じさせるデザインが採用され、パノラマ席やハイバックソファー席も設けられ、非常に快適な空間が演出されています。

事故とその影響

9500形には、2019年に発生した事故も記録されています。この事故は信号操作ミスにより起きたもので、進行方向を誤ってしまったために台車が別々の線路に入ってしまいました。このような問題は、乗客や地域住民に不安を与える要因となりますが、鹿児島市交通局は安全運行のためにさまざまな対策を講じています。

各車両の状況

9500形電車は、9501から9515号までの15両で構成され、年ごとの製造番号に関する特徴があります。例えば、9501と9502は1995年に完成し、9503から9515はその後の1996年以降に導入されました。これらの車両はそれぞれが独自の歴史を持ち、鹿児島市内の移動手段として愛されています。

鹿児島市交通局9500形電車は、地域交通の要として、今日もなおその役割を果たし続けています。

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