鹿児島市交通局9700形電車

鹿児島市交通局9700形電車について

鹿児島市交通局9700形電車は、1998年に製造され、鹿児島市電の路面電車として活躍しています。この車両の形式名は、1997年度の予算執行に由来しています。9700形電車は、主に9701号と9702号の2両が登場し、9390形電車と同様のデザインが採用されていますが、その構造や機能にはいくつかの改善点があります。

車両の特徴

9700形は、9500形電車とほぼ同一の外観を持ちながら、内部の技術が一新されています。まず、制御方式は9500形の直接制御から、より現代的な間接自動制御方式に変更され、駆動方式としてカルダン駆動が採用されました。これにより、走行性能が向上しました。なお、9700形では過去の新製形式である2110形電車が採用したVVVFインバータ制御ではなく、抵抗制御に戻りました。また、ブレーキ方式には電気指令式電磁直通ブレーキが使用されており、回生ブレーキは設けられていません。

集電装置には、鹿児島市交通局で初めてのシングルアーム式パンタグラフが者採用され、これが車両の一つの特徴とされています。運転機器は、両手でも片手でも操作できるワンハンドルマスコンが採用され、スムーズな運転が可能になっています。これらの車両は、9500形の改造と並行してアルナ工機により製造が進みました。

デザインと塗装

9700形電車の塗装は、登場当初に「いおワールドかごしま水族館」の開館を記念して設計され、海をイメージする水色の帯が施されています。さらに、ドアの横には愛らしいイルカのイラストが描かれており、地域の特色を反映しています。しかし、現在はすべての車両が広告塗装に変更され、広告の期限が切れた車両については、9500形と同様の鹿児島市交通局の標準塗装が適用されています。

車両の改造

2005年頃には、9702号の行先表示装置が方向幕からLEDに改造されました。これにより、9700形電車は、1000形電車以前の車両として初めてLED方向幕を装備することになりました。このLED表示は、企業からの無償サービスとして実施され、表示レイアウトは1000形および7000形と共通です。

9500形との違い

9500形電車との相違点として、制御機器以外に外観上の違いも見受けられます。集電装置がシングルアーム式になったことで、車体側面の表記方法も変更されています。具体的には、9500形では前ドアの横に記載されていた車番や交通局き章が、9700形では前ドアの上部に移動しています。内装にも変更があり、窓のカーテンは9500形が横引き式だったのに対して、9700形では縦引きのロールアップ式に変わっています。この内装の変更は、9700形の登場後に落成した9500形9512～9515にも影響を与え、同様のロールアップ式が採用されています。

このように、鹿児島市交通局9700形電車は、そのデザインや機能において多くの改良が施され、現在も地域の交通を支える重要な存在となっています。

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