鹿児島海軍航空隊

鹿児島海軍航空隊の概略

鹿児島海軍航空隊（かごしまかいぐんこうくうたい）は、太平洋戦争の開戦に合わせて設立された日本海軍の教育機関の一つです。主な目的は、海軍航空兵力の増強を図るため、飛行士候補生である予科練の教育を行うことでした。

沿革

1941年に始まった太平洋戦争では、各地域の航空隊が活躍し、時代はすぐに航空戦力の強化へと傾いていきました。その結果、戦線の拡大に伴い、航空隊要員の増員が急務となり、鹿児島においても新たな予科練が必要とされました。従来、土浦海軍航空隊が一手に予科練の教育を行っていましたが、その負担が限界に達していたためです。

此のような背景を踏まえ、海軍は開戦前から接収していた鹿児島市郡元町の鴨池海岸に、新たに鹿児島海軍航空隊を設立しました。ここでは、甲種と乙種の二つの飛行生の教育を行う予定でしたが、ミッドウェー海戦の惨敗を受けて、教育内容に変更が生じました。このことにより、成人飛行士としての教育を受ける乙種生の受け入れも始まり、甲乙の混成教育が行われることになったのです。

主要な歴史的出来事

1943年4月1日に鹿児島海軍航空隊が落成し、新たに第19連合航空隊が編成されました。その後、次々に飛行生が入隊し、1944年にも乙飛行士の教育が続けられました。しかし、1945年に入ると、連合航空隊が解散し、最終的には終戦を迎えることとなります。この年の6月には鹿児島大空襲が発生し、教育活動が凍結されるなど、情勢は急速に悪化しました。

開戦前には、鹿児島海軍航空隊のある鴨池飛行場が、真珠湾奇襲部隊の訓練場として使用されることもありました。しかし、終戦を前に教育機関としての機能は停止し、鹿児島海軍航空隊は解隊されたのです。

戦後の影響

戦後、鹿児島海軍航空隊の跡地は昭和32年に民間空港として再開され、地元市民によって「鴨池空港」として親しまれました。しかし、都市部に位置することから騒音問題や増便の限界が課題となりました。その後、昭和47年に新たな鹿児島空港が開港されたことで、鴨池空港は閉鎖され、跡地には鴨池ニュータウンが開発されたのです。

主要機種と司令

鹿児島海軍航空隊は教育訓練部隊であったため、特定の航空機の配備は行われていませんでしたが、歴代の司令官には神岡重雄や飛田健二郎、森本丞が名を連ねています。彼らはそれぞれの期間において、多くの若者に航空技術を指導し、日本海軍の航空戦力に貢献しました。

参考文献

『日本海軍編制事典』（芙蓉書房出版 2003年）
『航空隊戦史』（新人物往来社 2001年）
『日本海軍航空史2』（時事通信社 1969年）
『海軍飛行豫科練習生1』（国書刊行会 1983年）

このように、鹿児島海軍航空隊は日本の航空軍事史において重要な役割を果たし、若者たちの志や技術を育成する場として機能していました。

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