鹿児島県立工業専門学校 (旧制)

鹿児島県立工業専門学校

鹿児島県立工業専門学校（かごしまけんりつこうぎょうせんもんがっこう）は、1945年（昭和20年）に設立された旧制の専門学校です。第二次世界大戦のさなか、戦時下における工業技術者の緊急育成と確保が求められる中で、各地に増設された工業専門学校（旧称：高等工業学校）の一つとして開校しました。本校は戦後の学制改革を経て、現在の鹿児島大学工学部の基礎を築く役割を担いました。

概要

学校の概要として、本科は修業年限3年で、機械科、電気科、建築科、化学工業科の四つの学科が設置されていました。これは当時の社会が強く求めていた主要な工業技術分野に対応するものでした。終戦後、新制大学制度への移行が進む中で、1949年には旧制鹿児島医科大学と共に設立された県立鹿児島大学（後の鹿児島県立大学、現 鹿児島大学）の工学部の母体となります。卒業生を中心とした同窓会は現在、「鹿児島大学工学部同窓会」として活動しており、旧制時代からの卒業生が集う場となっています。

沿革

学校設立の歩みは、1943年11月の鹿児島県議会における工業専門学校設置に関する動議に始まります。具体的な設立準備は、1944年1月、当時の岩崎産業社長・岩崎與八郎氏からの多額の寄附申し出を契機に進展しました。同年5月には創立準備委員会が設置され、12月には県議会で設立が正式に議決。1945年1月に文部大臣から設立が認可されました。

開校は1945年4月に決定し、当初は現在の鹿児島県立鹿児島工業高等学校の前身である県立工業学校に併設される予定でした。しかし、戦況悪化のため授業開始は延期されます。さらに1945年6月には鹿児島空襲により、本館や講堂などの主要校舎を焼失する被害を受けました（実験室や実習工場は残存）。

終戦後の1945年10月にようやく始業式を迎え、授業が開始されました。校舎の多くを失っていたため、同年11月、鹿児島市伊敷町（現在の鹿児島市下伊敷）にあった旧西部十八部隊の兵舎跡地へ移転し、既存の兵舎を改修して校舎として使用しました。1948年4月には事務室も伊敷に移転し、キャンパス機能が集約されました。

新制大学への移行準備が進められ、1948年7月には県立鹿児島医科大学と共に、新制「県立鹿児島大学」の設置を申請。1949年2月に認可、同年4月に開学に至ります。この際、旧制工専は新設工学部の母体（機械工学科、電気工学科、建築学科、応用化学科）となりました。県立鹿児島大学は1949年6月に鹿児島県立大学と改称。旧制鹿児島県立工業専門学校は、新制大学への移行完了に伴い、1951年3月に正式に廃止されました。

校地

校地については、創立当初の県立工業学校への併設から、空襲後の伊敷町旧兵舎跡への移転へと変遷しました。この伊敷校地は、後身校である鹿児島県立大学工学部へと引き継がれ、現在も鹿児島大学工学部の一部として使用されています。

歴代校長

確認できる歴代校長としては、東京工業大学の元教授であった梶島二郎氏が務めました。

関連情報

短い期間でしたが、戦中・戦後の混乱期に重要な技術者育成を担い、現在の鹿児島大学工学部の礎を築いた学校と言えます。後身校である鹿児島大学工学部の情報や、関連書籍として『鹿児島大学五十年史』などを参照することで、本校の歴史や役割についてより深く知ることができます。旧制専門学校制度や学制改革という歴史的背景を理解することも重要です。

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