岩崎産業

岩崎産業株式会社について

岩崎産業株式会社は、鹿児島県を地盤とするいわさきグループの中核企業であり、その歴史は1923年に創業者の岩崎與八郎が木材加工業を始めたことに遡ります。創業当初は枕木の納入で財を成し、その後、郵便逓送や鉱山経営、奄美大島での山林経営へと事業を拡大しました。戦後には離島でのバス会社設立や県内の交通機関買収を通じて交通事業に進出し、1956年の指宿観光ホテル開業を機に観光事業にも本格的に参入しました。

現在では、観光・交通事業を主軸とした企業グループを形成しており、グループ全体で45社、従業員約3000人、売上高は約500億円（2015年3月時点）を誇ります。

歴史

1923年5月：岩崎與八郎が岩崎商店を創業。
1926年：郵便逓送事業に参入。
1930年：金輸出解禁に伴い鉱山事業に進出。
1940年4月：岩崎商店を岩崎産業株式会社に改組。
1943年10月：屋久島で屋久島バス有限会社（後の屋久島交通）を設立。
1943年12月：奄美大島で広大な社有林を取得し山林経営を開始。
1950年7月：奄美陸運（後の奄美交通）を設立し、離島での交通事業に参入。
1951年：東京・銀座に「オリンピックビル」を建設し、東京に進出。
1952年5月：南薩鉄道を買収。
1952年8月：種子島交通（現在の種子島・屋久島交通の前身）を設立。
1953年2月：三州自動車を買収。
1956年：指宿観光ホテルを開業し、ホテル・観光事業に進出。
1960年2月：鹿児島商船を買収。
1963年：沖縄での観光開発に進出。
1964年：三州自動車を鹿児島交通に社名変更し、南薩鉄道を合併。
1969年3月：豪州岩崎産業を設立しオーストラリアでの海外事業を開始。
1969年5月：伊豆・石廊崎に石廊崎ジャングルパークをオープンし伊豆に進出。
1981年：岩崎與八郎が一線を退き、岩崎福三が社長に就任。
2001年：鹿児島交通をいわさきコーポレーションに社名変更し、鹿児島商船などを合併。
2002年：岩崎芳太郎が3代目社長に就任。
2012年2月29日：岩崎福三が死去。
2013年11月19日：岩崎芳太郎が鹿児島商工会議所会頭に就任。

近年の状況

近年、岩崎産業は、燃料コストの上昇、観光需要の低迷、競争激化などの影響を受け、厳しい経営状況に直面しています。特に2020年からのコロナ禍では大幅な減収を記録し、多額の有利子負債を抱えています。

これらの課題に対応するため、資産売却、不採算事業の縮小といったリストラ策を実施するとともに、新規事業の開拓による収益確保に努めています。また、現社長の岩崎芳太郎氏のもと、既存事業のシェア維持を目的として、国や競合企業に対する訴訟も辞さない方針で事業を進めています。また、事業の妨げとなるイベントや公的要請に対しても、訴訟を示唆するなど、積極的に問題提起を行っています。

訴訟事例

2007年：鹿児島-屋久島航路をめぐり、市丸グループ（コスモライン社など）や折田汽船を相手取った訴訟。
2013年：宇宙航空研究開発機構 (JAXA) を相手取った訴訟。
2017年：鹿児島マラソンの交通規制によるバス運行への影響に疑義を示し、規制の禁止を鹿児島地方裁判所に仮処分申請。
2020年：屋久島町長が来島自粛要請を掲載したことに対し、グループ企業4社が撤回を要求（損害賠償請求の可能性も示唆）。

事業再編

運輸事業では、バス路線の廃止・再編を進めるとともに、関連会社の解散・整理も行っています。
海運事業では、市丸グループとの間で航路をめぐる争いがありましたが、後に和解し、合弁会社「種子屋久高速船株式会社」を設立し、共同で事業を運営しています。

観光事業の現状

かつては全国各地で観光施設を開発していましたが、老朽化や施設の放置が問題となっていました。近年は、施設の譲渡や売却を進めています。ホテル事業も、鹿児島市内のホテルを閉鎖するなど、再編が進んでいます。現在は、指宿、屋久島、種子島のホテルを中心に運営しています。

その他の事業

2006年には、韓国の格安航空会社への出資も行いましたが、同社の経営難により中断しました。一方、現代自動車の大型観光バスを試験導入し、販売活動も展開しています。

いわさきグループ

岩崎産業はグループ全体の統括を担い、エネルギーや木材販売、養殖事業などを展開しています。グループの中核企業は、岩崎産業、運輸事業を統括するいわさきコーポレーション、ホテル・ゴルフ場事業を統括するいわさきホテルズオペレーションの3社です。これらの下に、酒造会社や関連会社が連なっています。

主なグループ会社

いわさきコーポレーション（運輸・交通事業）
鹿児島交通（バス事業）
種子島・屋久島交通（バス事業）
垂水フェリー（フェリー事業）
種子屋久高速船（高速船事業）
鹿児島国際航空（航空事業）
いわさきホテルズオペレーション（ホテル・ゴルフ場事業）
指宿いわさきホテル
屋久島いわさきホテル

関連事項

九州フィナンシャルグループ：岩崎グループの財団が筆頭株主。
* 鹿児島テレビ放送

岩崎産業は、過去の成功と現状の課題を踏まえ、グループ全体の持続的な成長を目指しています。

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