鹿野圭生

鹿野圭生（かの たまお）

鹿野 圭生（本名：鈴木 圭生、旧姓：鹿野）は、1961年11月1日生まれの日本の元女流棋士です。現在は日本女子プロ将棋協会（LPSA）に所属しており、LPSA番号は8。以前は日本将棋連盟に籍を置き、当時の女流棋士番号は旧23でした。香川県高松市出身で、松山商科大学（現・松山大学）人文学部を卒業しています。師匠は有吉道夫九段。2017年3月31日に現役を引退しましたが、引退後も将棋界との関わりを続けています。結婚により姓が鈴木に変わっていますが、女流棋士としては旧姓の鹿野で活動しました。

学生時代からプロへの道

大学在学中からその実力は注目を集めました。特に松山商科大学将棋部での活躍は目覚ましく、全国学生女流名人戦では3年連続で決勝の舞台に進出しています。1981年の第2回大会、そして1983年の第4回大会では見事に優勝を果たし、アマチュア強豪としての地位を確立しました。これらの実績を背景に、女流棋士への道を歩み始めます。

1984年4月には女流育成会に入会し、プロを目指す研鑽を積みました。1987年に女流3級として正式に女流棋士資格を取得しましたが、その後、規定により一時的に女流育成会へ降格するという経験も経ています。しかし、再び実力を証明し、1989年4月には女流1級として女流棋士に復帰を果たしました。1992年12月には女流初段へと昇段し、プロとして本格的に活動する基盤を築き上げました。

プロ棋士としての歩み

プロデビュー戦は1987年3月26日のレディースオープントーナメント、相手は山下カズ子女流二段でした。この対局では、相手である山下女流二段が反則負けとなり、鹿野女流棋士のプロ初勝利が反則勝ちという、将棋界では極めて稀な形で記録されることとなりました。これは鹿野女流棋士のキャリアにおけるユニークなエピソードの一つとして語られています。

棋士活動の傍ら、メディアへの露出もありました。1998年からの4年間は、大阪ガス株式会社のCMに出演し、その顔が広く知られる機会もありました。また、大学時代の将棋部の後輩と1997年に結婚し、1999年には第一子を出産するなど、家庭との両立も図りながら棋士生活を送りました。

その姉御肌で面倒見の良いキャラクターから、将棋界では親しみを込めて「大阪の姉御」と呼ばれていました。また、「カノタマ」や「タマ」といったニックネームでも知られ、かつて将棋専門誌『将棋マガジン』で連載していたコラムのタイトルも『タマの目』でした。

LPSA設立への関与と引退、そして昇段

鹿野女流棋士は、日本将棋連盟から独立して日本女子プロ将棋協会（LPSA）が設立される際に、その中心メンバーの一人となりました。関西地方に拠点を置く女流棋士としては唯一、日本将棋連盟から脱退し、LPSAの設立に参画するという強い意志を示しました。LPSA設立後は、協会の運営にも深く関与し、2014年2月には理事に就任するなど、組織を支える役割も担いました。

2017年3月31日、女流棋士引退規定に基づき、現役を引退しました。生涯成績は123勝243敗でした。引退後も完全に将棋界から身を引いたわけではなく、LPSAが主催する大会には出場する意向を示しており、ファンに元気な姿を見せる機会もあり得ます。

そして、2024年9月1日、引退女流棋士の昇段に関する規定の改定に伴い、女流三段へと昇段を果たしました。これは、引退後も長年にわたる貢献などが評価されたものと言えるでしょう。

昇段履歴

1984年04月00日 - 女流育成会入会
1987年00月00日 - 女流3級（女流棋士）
1989年04月00日 - 女流1級（女流棋士復帰）
1992年12月00日 - 女流初段
2011年04月26日 - 女流二段（女流初段昇段後60勝）
2017年03月31日 - 引退（引退女流棋士規定）
* 2024年09月01日 - 女流三段（引退女流棋士昇段規定改定）

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