レディースオープントーナメント

概要

レディースオープントーナメントは、将棋専門紙である週刊将棋が主催した、かつての女流棋戦の一つです。1987年度に創設され、足掛け20年にわたって開催されました。毎年秋から冬にかけて、熱戦が繰り広げられる決勝三番勝負が行われていました。この棋戦は、2006年度の第20回をもって発展的に終了し、現在の女流タイトル戦であるマイナビ女子オープンへと引き継がれることになります。

当時の女流公式戦としては、女流プロ名人位戦、女流王将戦に続く3番目の棋戦として位置づけられました。最も大きな特色は、プロの女流棋士だけでなく、将来プロを目指す育成会員や、広く一般のアマチュア女性にも参加の門戸が開かれていた点にありました。これは当時としては画期的な試みであり、女流将棋界の裾野を広げ、新たな才能の発掘に貢献する側面も持っていました。

創設経緯と名称

週刊将棋が創刊4年目を迎え、女流将棋のさらなる発展を目指して新たな公式戦の創設を企画したことが始まりです。棋戦の名称は広く一般から公募され、1800通近い応募の中から「女王戦」と「レディース・オープントーナメント」が最終候補に選ばれ、後者の名称が採用されることとなりました。

棋戦システム

レディースオープントーナメントは、予選トーナメントと本戦トーナメントによって構成されていました。参加資格を持つのは、全女流棋士に加えて、育成会員の中から選ばれた1名、そしてアマチュア女性から選ばれた2名の合計人数となります。本戦トーナメントは16名によって争われ、これには前年度の本戦ベスト4進出者およびタイトル保持者がシード選手として優先的に出場権を得ました。シード選手の数（最大で4名＋タイトル保持者数）に応じて、予選を勝ち上がって本戦に進出できる通過者の数が変動する仕組みでした。例えば、最終回となった第20回では、シード選手が6名だったため、予選からは10名が本戦に進みました。

決勝戦は先に2勝した方が優勝となる三番勝負で行われました。持ち時間は、予選が各1時間、本戦トーナメントは各2時間、そして注目の決勝三番勝負は各3時間と、対局が進むにつれて長くなっていきました。

歴史的意義とエピソード

この棋戦の歴史においては、参加資格が広く開かれていたことによるドラマやエピソードが数多く生まれました。

創設初年度の第1回大会から、優勝候補筆頭と目されていた林葉直子女流王将が、本戦の初戦で育成会から仮入会していた鹿野圭生女流3級に敗れるという、いきなりの大波乱が発生しました。さらに翌年の第2回大会でも、前年度優勝者であった清水市代女流名人が、こちらも育成会から仮入会していた植村真理女流3級に本戦1回戦で敗れるなど、2年連続で下位者による番狂わせが起こり、アマ・育成会員の参加がもたらす面白さを早くも示しました。

アマチュア選手が本戦トーナメントに進出した例は、岩根忍（後に女流棋士）が2度経験したことを含め、計5人の選手が記録しています。一方、育成会員の予選通過者は残念ながらいませんでしたが、里見香奈（後に女流棋士）のように予選決勝まで進出した例はありました。

また、アマチュア、育成会、プロという全ての立場でこの棋戦に出場した経験を持つ選手としては、中倉宏美と里見香奈の2人が挙げられます。このことからも、本棋戦が多くの女性にとってプロ棋士への階段を上るための重要な通過点であり、可能性を示す場であったことが伺えます。

20年間の歴史に幕を閉じ、マイナビ女子オープンという新たなタイトル戦へと引き継がれたレディースオープントーナメントは、女流将棋の発展に貢献した重要な棋戦の一つと言えるでしょう。

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