麻田駒之助

麻田 駒之助の生涯と功績

麻田駒之助（あさだ こまのすけ）は、明治2年（1869年）10月14日に京都で生まれ、昭和23年（1948年）11月24日に没しました。彼は日本の出版界における重要な人物であり、中央公論社の初期の社長として知られています。また、俳号「椎花」で知られる俳人でもあります。

幼少期と教育

麻田は、京都府人の麻田栄之進の長男として誕生しました。教育を受けたのは京都府立中学校ですが、現在の京都府立洛北高等学校・附属中学校がその源流です。若い頃から彼の文学への興味は高まり、やがて出版の世界へと足を踏み入れることになります。

出版業のスタート

麻田は、一度は西本願寺内局に勤務しますが、大谷光瑞の推薦で、1892年には反省会の庶務係に就任し、これをきっかけに上京しました。この反省会では、雑誌『反省雑誌』の編集を担当しましたが、1899年にはこの雑誌を『中央公論』と改称し、彼の出版業としての第一歩が始まります。

さらに、1904年には反省会社の社長に就任しました。その後、滝田樗陰に編集業務を委ねることで、言論と文芸の雑誌としての中央公論は順調に売上を伸ばします。

中央公論社の設立

1914年、麻田は社名を中央公論社に改め、社の発展に寄与しました。社は当初、彼の自宅の一部を事務所として利用しており、簡素な環境での業務がスタートしました。しかし、1925年に樗陰が急死すると、麻田は会社の存続を危惧し、最終的には嶋中雄作に社を譲る決断を下しました。

自邸について

麻田の自邸は、1921年に完成しました。これは、日本の初期の住宅作家として有名な保岡勝也によって設計された和洋折衷の住宅です。場所は文京区西片2丁目で、洋館や茶室も付属しています。当初、中央公論社発足時は、２階の和室を事務所代わりに使用していましたが、後にこの住宅は平野家の所有となり、現在では「平野家住宅」として登録有形文化財に指定されています。

文化的影響と評価

麻田駒之助の影響は、彼が社長を務める中央公論社を通じて、日本の出版界に広がりました。彼のビジョンにより、中央公論社は様々な作家や思想家の作品を世に出し、日本の近代文学の発展に寄与しました。また、俳人としての彼の作品は、今尚、俳句愛好者たちに受け継がれています。

彼の生涯は、出版界の発展と文化的な活動の密接な関連性を示しており、麻田の名前は日本の文化史に刻まれています。

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