黄 (山西省)

黄（こう）は、古代中国の春秋時代以前、すなわち先[[秦]]時代に存在した諸侯国の一つです。

その歴史は、伝説的な人物である臺駘（たいだい）に遡ります。臺駘は、古代中国の帝王である金天氏（きんてんし）の末裔であり、水官を務めた昧（まい）の息子とされています。彼は、卓越した治水能力を持ち、汾河（ふんが）や洮河（とうが）の浚渫（しゅんせつ）事業を成功させました。また、大沢を塞ぎ、その結果、地元の人々が広い地の高平に移り住むことを可能にしました。

臺駘の功績は、当時の帝王である顓頊（せんぎょく）によって高く評価され、その報奨として汾川（ふんせん）の地に封じられました。この地を拠点として、彼の末裔たちは勢力を拡大し、黄（こう）、姒（し）、蓐（じょく）、沈（しん）の四つの国に分かれて統治しました。これらの国々は、それぞれ臺駘を始祖として祭祀を行い、汾水の神として尊崇しました。

しかし、これらの国々の繁栄は長くは続きませんでした。春秋時代に入ると、周辺諸国の力が強大化し、特に晋（しん）が勢力を拡大する中で、汾水流域の統一が進められました。その過程で、黄、姒、蓐、沈の四国は次々と滅亡し、歴史の表舞台から姿を消すことになりました。

黄の歴史は、古代中国における初期の国家形成と、治水事業が社会の発展に果たした重要な役割を示唆しています。また、その後の春秋戦国時代の動乱の中で、小国がどのようにして大国に呑み込まれていったのかを物語る一例とも言えるでしょう。黄という国は、その短い歴史の中で、古代中国の歴史に、重要な一ページを刻んだと言えるでしょう。

参考資料として、楊伯峻氏の著書『白話左伝』が挙げられます。

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