黄変米

黄変米について

黄変米とは、米が黄色に変色したものを指し、特にペニシリウム属のカビによる影響が大きいとされています。一般的には、高水分での保存が原因となることが多いですが、特にペニシリウムの一種が関与するケースが重要視されています。

種類と影響

黄変米は、カビの種類に応じていくつかのグループに分けられます。主なものには、トキシカリウム黄変米、イスランジア黄変米、シトリナム黄変米があります。

トキシカリウム黄変米

この型は、ペニシリウム・シトレオビライデによって生成されるマイコトキシン、シトレオビリジンを含みます。シトレオビリジンは、中枢神経系に悪影響を及ぼす可能性があり、麻痺や呼吸困難を引き起こすことがあります。

イスランジア黄変米

ペニシリウム・イスランディクムが造成するこの黄変米は、ルテオスカイリンというマイコトキシンを伴っており、急性の肝臓障害を引き起こす恐れがあるとされています。さらに、このカビによる別のマイコトキシン、シクロクロロチンも1968年に発見されており、同様に肝臓に悪影響を与えることがわかっています。

シトリナム黄変米

最後に、ペニシリウム・シトリヌムによって生じ、腎障害性物質であるシトリニンを含むシトリナム黄変米があります。これらのマイコトキシンは、人体に深刻な健康危機をもたらす可能性があります。

歴史的背景

黄変米の存在は、日本で第一次世界大戦後から注目されてきました。特に1937年、台湾で発見された黄変米が関連する研究のきっかけとなり、その後の分析によりペニシリウム菌が原因菌であることが確認されました。戦後、食糧不足で輸入米が流入した際にも、その中に黄変米が多く含まれていることが判明しました。

黄変米事件

1950年代、日本は戦後の食糧難に直面して大量の米を輸入し、1951年12月にはビルマからの輸入米の1/3が黄変米であることが明らかになりました。これに関連して、国民への配給が一時的に禁止され、その後混入基準が緩和される事態となりました。この動きに対し、世論は猛反発し、市民運動も活発化。政府は黄変米の危険性を軽視して配給を進め、さらには日本の国民が消費する調味料や食品にかき混ぜる方向に資源を流用しようとしました。

その結果、政府は羽田にある農林省の主導で研究会を設立し、黄変米の研究が進められました。研究の結果、黄変米の毒性の深刻さが証明されました。研究は短期間で進展し、世論の反発を受けて配給の停止が決定されましたが、多くの黄変米が未処理のままとなりました。最終的には黄変米は家畜の飼料や、食用以外の用途に長期間使用されることとなりました。

江戸前寿司の変化

黄変米事件の影響で、江戸前寿司の製法も変化しました。伝統的に赤酢を使っていた寿司飯が、黄変米に対する客の不安から白酢に転換され、さらには味付けが甘くなる傾向も見られました。

まとめ

黄変米は単に外観の変化だけでなく、その背後にある健康リスクや食文化への影響を持っています。今後も食の安全を守る上で、黄変米の問題は重要なテーマとなるでしょう。

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