黄線地帯 イエローライン

『黄線地帯 イエローライン』

『黄線地帯 イエローライン』は、1960年に公開された日本映画で、新東宝が製作しました。この作品は、イーストマンカラーと新東宝スコープを使用して撮影されています。映画の題名にある「黄線」は、当初は黙認されていた私娼を指し、後に売春防止法によって禁止されました。この映画は「イエローライン」とも呼ばれており、多くの人に知られています。

概要

物語は、秘密売春組織の一員である依頼人に裏切られ、報復を誓った殺し屋・衆木（天知茂）と、衆木に人質にされたダンサー・エミ（三原葉子）とその恋人・新聞記者の真山（吉田輝雄）の追跡劇を描いています。売春防止法施行後、地下に潜ることになった売春産業と、彼らが織りなす陰謀に巻き込まれた男女の葛藤を中心に展開される、いわゆる「地帯シリーズ」の第3作目です。

神戸が物語の主要な舞台として設定されているものの、実際の撮影は横浜で行われました。特に神戸の「カスバ」街が舞台に登場する前半から中盤においては、新東宝美術部が力を入れて制作したセットが見どころです。また、映画評論家の淀川長治が映画雑誌『キネマ旬報』に、この作品に対する厳しい批判と同時に好意的な評価を寄せたことで注目されました。

ストーリー

殺し屋の衆木は、神戸税関長（浪野）を殺害するよう依頼され、その任務を遂行します。しかし、依頼人が待ち合わせ場所に現れず、代わりに警察が迫ってくるところから物語は始まります。憤りを感じた衆木は、依頼人に復讐を果たす決意します。

その一方で、ダンサーのエミは「新日本芸能社」というプロダクションに応募し神戸に向かおうとしていましたが、東京駅で衆木に襲われ、人質として列車に乗せられてしまいます。発車の際、エミは赤いハイヒールの片方をホームに投げ捨てますが、駅員はこれを忘れ物として処理してしまいました。エミの恋人で新聞記者の真山は、エミの電話の切れたことに不審を抱き、彼女の行方を追い始めます。

神戸についた衆木とエミは、足りない靴を購入するために靴屋に立ち寄りますが、そこでエミが渡した百円札は、全く別の女性・弓子（三条）に渡ってしまいます。弓子はその後、拉致されてしまうのです。

衆木はエミを自らのホテルに監禁し、彼女に自分の過去を語ります。一方、エミはホテルのマダム（若杉）に目を付けられ、さらなる陰謀に巻き込まれていくことになります。彼らの運命が交錯し、徐々に物語は緊迫を増していくのです。

この映画は、禁じられた売春とその背後にある陰謀が絡む波乱に富んだ作品であり、観る者に人間の欲望と恐怖が入り交じる様を描き出しています。激しい男女の対立や恐怖感が伝わり、視覚、聴覚両方の要素で観る者を引き込む作品となっています。特に「地帯シリーズ」としての位置付けが強く、それに伴う社会的な問題を扱っている点も見逃せません。

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