黒いジェット機事件

黒いジェット機事件についての詳細

黒いジェット機事件は、1959年9月24日に発生した、不明な航空機が日本の神奈川県藤沢市の藤沢飛行場に不時着した出来事です。この事件は冷戦時代における諜報活動の一環であり、多くの人々の関心を集めました。

事件の発端

この日、日本は秋分の日の祝日であり、藤沢飛行場では地元の民間人がグライダーの発着訓練を行っていました。その時刻は午後3時15分、突然、不明な航空機が滑走路に胴体着陸し、そのままオーバーランして草地に停止しました。機体には国籍や所属を示す markings がなく、ただ「449」という数字が書かれていました。この正体不明の航空機は、後にロッキードのU-2偵察機であると判明します。

不時着の様子

不時着後、現場にはヘリコプターや軽飛行機が相次いで着陸し、平服を着た外国人が銃を持って降りてきました。彼らは警戒線を張り、状況を監視しました。不時着した機体から降りたパイロットも腰に銃を帯びており、その後はヘリコプターで現場を離れました。この一連の行動は、ただの事故とは思えない異様さを醸し出しました。

事件後の展開

藤沢警察署は事件現場に到着しましたが、アメリカ軍関係者らしき人物により現場検証を制止されてしまいました。また、事件の詳細を撮影した市民もアメリカ軍の捜索を受けました。この事件に関して、日本の全国紙はほとんど報道せず、唯一、神奈川新聞が小さく取り上げたのみでした。事件の詳細が広く知れ渡ることはなく、社会的な影響は極限に抑えられたのです。

国会での言及

事件が一般に広く知られるようになったのは、同年12月1日に行われた第33回国会の本会議で、日本社会党の飛鳥田一雄議員がこの事件を取り上げた時です。その際、飛鳥田議員は事故機の正体と目的について、外務大臣である藤山愛一郎との間で論議を交わしました。この際、機体が伊勢湾台風の調査を行っていたとする航空宇宙局の発表について真偽が問われました。

当時、伊勢湾台風は日本の南海上にあった強大な気象現象であり、上空での調査は意味があると考えられましたが、真相は不明なままです。伊勢湾台風はその2日後に紀伊半島に上陸しました。

事件の真相

後に調査が進む中で、不時着した機体は厚木基地に配置されていた臨時気象偵察飛行隊第3分遣隊に属していることが判明し、CIAのパイロットであるトム・クルエルが操縦していました。この機体はエンジンが最新のJ75に換装されており、その性能に感動したクルエルが飛ばしすぎて燃料切れに陥ったため、不時着という事態になったと考えられています。回収された機体はその後、修理を受けてトルコのインジルリク空軍基地に派遣されました。

1960年5月1日、この機体はソ連領内での偵察飛行中に撃墜されることになります。このように、黒いジェット機事件は冷戦時代における国家間の緊張や諜報活動の象徴的な出来事となりました。

もう一度検索