黒又山

黒又山について

黒又山（くろまたやま）は、秋田県鹿角市十和田大湯地区の中通台地に位置し、標高280.6mの円錐型の山です。この山は地元の人々から「クロマンタ」または「クルマンタ山」と親しまれています。山頂には本宮神社があり、神社にまつわる伝説とともに、訪れる人々を魅了しています。特に、黒又山の独特な形状はピラミッドに似ており、古代の神秘やロマンを感じさせます。また、昭和17年に描かれた鳥谷幡山の絵には、黒又山とその上空を飛ぶ不思議な物体が描かれており、マニアの間では知られた存在です。さらに、黒又山の近くには国特別史跡に指定される「大湯環状列石」があり、考古学的にも重要な地域となっています。

登山と眺望

登山は、宮野平集落に位置する本宮神社の鳥居口から始まりますが、山頂周辺は樹木に覆われているため、期待するほどの眺望は確保できません。しかし、登山の過程で自然の美しさを享受できることは間違いありません。また、山麓には縄文時代の遺跡である堤尻I、II、III遺跡があり、古代の人々の生活を知る手がかりとなっています。

本宮神社の由来

黒又山の山頂に存在する本宮神社には、安倍貞任の一族に属する医者・本宮徳治郎の伝説があります。彼は安倍氏の守り神である清水観音、八幡大菩薩、帝釈天を背負って鹿角に移住しました。本宮は、これらの神々をそれぞれの場所に祀り、その中心となる神社を黒又山に設けました。特に、薬師堂は薬師如来を祀っており、地域の人々に信仰されてきました。神社の名は明治時代に掲げられ、以来、多くの人々が御利益を求めて訪れています。

考古学的調査

黒又山では1992年から1994年にかけて、同志社大学の研究団体による考古学的調査が実施されました。その結果、石器や土器、土製品といった基本的な遺物が出土しました。また、古銭や鉄釘の発見もあり、興味深い宗教的背景や文化の痕跡が見られました。特に注目されたのは、山頂、斜面、山麓から出土した石英安山岩製の刻文石製品で、これは縄文時代の宗教祭祀の一端を示唆するものです。

さらに、地中レーダーによる調査では、山頂の地下に石棺のような構造物が存在することが示唆されました。この発見は、黒又山が古代の宗教的な祭祀の場であった可能性を高めています。この研究は2022年にテレビ番組で特集されるなど、その注目度がますます高まっています。また、山頂部からは「烏帽子状の立石」が発見され、興味深い文様の刻まれた面が確認されました。こうした発見は、古代人の信仰や文化をうかがわせる貴重な資料となります。

黒又山は、自然の魅力や歴史的な背景、文化的な遺産を兼ね備えた場所であり、地元の人々や訪問者にとって特別な意味を持つ山です。登山を通じて、その魅力を実感してください。

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