黒山駅分岐新潟東港専用線

新潟東港専用線の概要

新潟県の新潟市北区に位置する黒山駅から、北蒲原郡聖籠町の藤寄駅へ至る「新潟東港専用線」は、主に貨物輸送を目的とした鉄道路線です。この専用線は新潟県が所有し、日本貨物鉄道（JR貨物）が運行を行っています。正式には「黒山駅分岐新潟東港専用線」と呼ばれ、通称として「新潟東港鉄道」とも知られています。

歴史的背景

新潟港東港区の輸送手段として、1969年4月に新潟臨海鉄道という貨物専門の鉄道会社が設立されました。この会社は新潟県や新潟市、さらには複数の荷主企業と共同出資のもとに設立されたもので、翌1970年10月には黒山駅と藤寄駅の間が開通しました。さらに1972年3月には藤寄駅から太郎代駅までの延伸も実現し、全線が供用開始されました。この鉄道は非電化で単線の構造を持っています。

新潟東港専用線は、主に太郎代埠頭から化学薬品の輸送を担い、保有するディーゼル機関車は線内での運行に加えて、JR貨物の東新潟港駅での入換業務にも使用されました。また、新潟鐵工所が閉鎖した後は、新造した電車やディーゼルカーの鉄道への積み替え作業も行っていました。

しかし、藤寄から太郎代間の線路敷が開発用地にかかる事態や、周辺企業のトラック輸送へのシフト、さらには新潟鐵工所の経営破綻などが影響し、貨物鉄道としての運営が困難になりました。その結果、2002年9月30日をもって鉄道営業が終了し、同年10月31日には新潟臨海鉄道が解散しました。

廃線後の変遷

廃線後、新潟県は同線の鉄道施設を引き継ぎ、残った区間とはいえ、現名称の「黒山駅 - 西ふ頭間」での営業を再開しました。この距離は4.4kmで、新潟県の専用線として運行されています。藤寄から西ふ頭間は運行予定がないため、実質的に休止状態にありますが、新潟鐵工所の元車両部門を継承した新潟トランシスが黒山から藤寄間を利用して輸送を行っています。

また、この休止中の藤寄から西ふ頭間の終端部はコンテナターミナルに接しており、東港でのコンテナ取扱量が増加する中、陸上輸送効率化の必要性が浮上しています。このため、新潟県では物資の輸送を鉄道に切り替えるための計画に着手し、2011年には県の港湾計画に当路線が追加されました。これにより、黒山から藤寄間が新潟港の港湾施設の一部として機能することになりました。

現在の状況

急激なコンテナ輸送の効率化が求められる状況下、県は高架区間の耐震補強などの設備改善を進める計画も視野に入れています。一方で、国土交通省が行う実証実験では、旧藤寄駅を使用して国際海上コンテナの国内輸送が進められることになっており、今後の展開が注目されています。

車両

この路線で使用されていたディーゼル機関車には、DD35形やDD55形、DE65形などがあります。特にDD35形は1970年に新潟鉄工所で製造された35t機で、出力が小さく予備機としての運用がされていました。以降、1996年に廃車となりました。DD55形は元国鉄DD13形の車両であり、1981年から使用が開始されましたが、1995年には運用を離脱し、廃車になりました。DE65形は国鉄DE10形タイプで、3両が在籍していましたが、そのうちの1両は2002年の廃止後、他の鉄道会社に譲渡されました。

村落と港が同時に機能するこの専用線は、地域の物流について重要な役割を果たしてきました。今後の答えにはさらに発展の余地があり、持続的な物流システムの確立が期待されています。

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