黒崎幸吉

黒崎幸吉の生涯と業績

黒崎幸吉（くろさき こうきち、1886年5月2日 - 1970年6月6日）は、日本の著名な聖書学者及びキリスト教の伝道者でした。彼はまた、住友本社での職務を経て、聖書の研究と教育に焦点を当てた人生を送りました。

人物の背景

黒崎幸吉は、書家の黒崎研堂の子として山形県で生まれました。荘内中学校を卒業後、旧制第一高等学校を経て、1911年には東京帝国大学法科大学の政治経済学科を卒業しました。在学中には内村鑑三の聖書研究会に参加し、キリスト教に入信します。卒業後、住友本社に勤務し、家族の教育を担当しましたが、1915年にはアメリカに留学することになります。

留学後は大阪、東京、別子で勤務しましたが、1921年に妻を失ったことが大きな転機となり、住友から退職し、無教会の伝道者としての活動を開始しました。

留学と聖書研究

黒崎は1922年から1925年にかけて、ドイツ、フランス、イギリスへ留学し、イングランドのセリオーク・カレッジに滞在。この経験が、後の登戸学寮の設立に影響を与えました。帰国後は故郷の鶴岡に戻り、聖書研究会を主催しつつ、旧制山形高等学校で語学を教えました。

しかし、健康問題のために1931年に兵庫に転居し、その後も教育と著作に専念しました。特に太平洋戦争中、彼が執筆した『永遠の生命』は反戦的な内容と見なされ、発禁処分を受けることになります。戦後は日本の再建を教育に求め、多くの著作を発表しました。その中でも1960年には、アメリカやヨーロッパを回って伝道を行いました。

登戸学寮の設立

登戸学寮は1955年に黒崎が設立の構想を発表し、1958年に神奈川県川崎市に設置されました。最初は男子学生のみを受け入れていましたが、2010年には女子寮も開設され、600名を超える学生がここで学ぶことになりました。初代寮長は里見安吉で、当寮は教育的施設として重要な基盤を築いています。

家族や親族

黒崎には歴史的背景を持つ親族がそろっています。庄内藩家老の酒井了明が祖父であり、大泉県参事の酒井了恒、荘内蚕糸業組合長の酒井調良が伯父です。また、婦人運動家の白井久井は伯母であり、従姉妹には京都での活動でも知られる婦人運動家の榊原弥生がいます。さらに、彼の姪の夫に本間順治がいます。黒崎の家族の中には、NHK職員の孫・黒崎めぐみもいます。

主な著作

黒崎は生涯を通じて多数の著作を執筆し、主な著作には『カルヴィンの教会観』（1931年）、『教会の本質』（1932年）、『基督教の更生は日本より』（1933年）、『ガラテヤ書講解』（1935年）など多岐にわたります。彼はまた、1943年には『旧約聖書註解全書・第1巻』を編纂し、信仰の教育と学びに寄与しました。

1970年、黒崎幸吉は84歳でこの世を去りましたが、彼の影響は今もなお多くの人々に残っています。彼の業績は、教育と信仰の重要性を説いたものであり、多くの人々にインスピレーションを与え続けています。

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