黒崎義介

黒崎義介

黒崎義介（くろさき よしすけ、1905年3月25日 - 1984年8月12日）は、日本の童画画家です。長崎県平戸市で醤油醸造業を営む家庭に六男として生まれました。幼い頃から絵を描くことに興味を持ち、その才能を開花させていきました。

生い立ちと画業の始まり

1924年、平戸中学校を中退し、画家を目指して上京。川端画学校で絵画の基礎を学びました。1927年には中央美術展で入選を果たし、その実力が認められます。1929年頃から童画を描き始め、子供たちの世界を温かく描く独自のスタイルを確立しました。

結婚と創作活動

1931年、川端画学校で知り合った斎藤登喜子と結婚。当初は妻の実家に住んでいましたが、その後、東京各地に転居し、創作活動を続けました。1934年、新ニッポン童画会に参加し、「コドモノクニ」や「キンダーブック」などの児童雑誌に数多くの挿絵を提供しました。

戦中・戦後の活動

1941年には安田靫彦に師事し、日本画の技法も学びました。1943年から1945年まで大磯町に疎開し、戦後の1946年には復興院展に初入選。1947年には童画研究会を主宰し、後進の育成にも尽力しました。童画の世界だけでなく、地域活動にも積極的に参加しました。

地域社会への貢献

1952年、藤沢市鵠沼海岸に転居。1959年には鵠沼公民館の開設に協力し、絵画教室や墨絵教室を開きました。1960年には藤沢市文化財保護委員に委嘱され、1962年には日本児童ペンクラブの相談役を務めるなど、文化活動の発展に貢献しました。

国際的な活動と晩年

1962年には、日本著作権協議会からパリのユネスコ会議に派遣され、これを機に欧米13カ国を旅行。国際的な視野も広げました。1969年にはニューヨーク市で「日本むかし噺童画展」を開催し、海外にもその作品が紹介されました。

1975年には鈴木鎮一と親交を持ち、幼児教育研究所を設立。1978年には文部省児童文化功労賞を受賞しました。1980年には伊豆山神社に天井画を奉納。1984年、鵠沼海岸にて脳梗塞で亡くなりましたが、その遺志は、妻によって旧居を社会福祉団体に寄贈し、障害者自立支援施設「よし介工芸館」として受け継がれています。

黒崎義介の作品

黒崎義介の作品は、温かみのある色彩と優しいタッチが特徴です。子供たちの日常や動物たちを生き生きと描き出し、見る人に安らぎと笑顔を与えます。代表作には、「童画報告軍艦旗の行くところ」、「ボクノヒヨコ」、「ノリモノゴッコ」など多数あり、現在でも多くの人に愛されています。

黒崎義介の遺産

大分県豊後高田市の「昭和の町」のシンボルマークに黒崎義介の童画が使用されており、2005年には「昭和の町」内に黒崎義介の童画を展示する「昭和の絵本美術館」が開館しました。彼の作品は弥生美術館にも所蔵されており、その芸術は後世に伝えられています。

黒崎義介は、童画の世界に独自の足跡を残し、多くの人々に愛された画家でした。彼の作品は、子供たちの純粋な心を映し出し、私たちに温かい気持ちを思い出させてくれます。

主な著作

童画報告軍艦旗の行くところ 中支・南支・海南島 フタバ書院 1941
アソビ 川上四郎,長谷川露二共著 小學館 1941
ボクノヒヨコ 童画社 1942
ノリモノゴッコ 二葉書店 1946 （フタバノヱホン）
コドモトハタケ 二葉書店 1946 （フタバノヱホン）
なかよしどうぶつ 童画書房 1947
くまさんさるさん 主婦之友社 1947 （主婦之友の絵本）
花のこども 主婦之友社 1947 （主婦之友の繪本）
ハナ子サン 冨士屋書店 1947
ボクノノリモノ 自然社 1947
どうぶつのやきゅう 童画書房 1948
子供のまつり 文化建設社 1948 （ヨシスケヱ本）
お山のこぐま 文化建設社 1948 （ヨシスケヱ本）
三吉の冒険 昭和出版 1948
くまさんさるさん川のたび 主婦之友社 1949 （主婦之友の絵本）
こどもとどうぶつ 東京絵本 1951
とりのおやこ フレーベル館 1963 （トッパンの愛児えほん）
略画百科事典 まごころ社 1965
* ふじさわのむかしばなし 第1-2集 藤沢市教育文化研究所 1974

もう一度検索