黒森トンネル

黒森トンネル

福島県郡山市湖南町赤津から会津若松市湊町原を結ぶ黒森トンネルは、国道294号の一部を担う重要な道路トンネルです。全長978mのこのトンネルは、黒森峠の急峻な地形を克服し、安全で円滑な交通を確保するために建設されました。

概要

全長: 978m
全幅(車道): 11.75m (6.5m)
有効高: 4.7m
最急勾配: 1.9%
最小半径: 1300m
工法: NATM工法（上半先進ベンチカット工法）
竣功: 2003年9月
施工: 陰山組・共立土建・昭和特定建設工事共同企業体
* 総工費: 38億円

歴史と背景

黒森トンネルは、黒森峠を越える従来の国道294号の区間に存在した、急勾配と急カーブが連続する交通の難所を解消するために計画されました。1998年度に国道改築事業として建設が開始され、1999年3月29日に起工式が行われました。トンネルは2002年11月1日に貫通し、2003年11月30日に供用が開始されました。

特徴

黒森トンネルの建設には、NATM工法（上半先進ベンチカット工法）が採用されています。この工法は、トンネルを掘削する際に、上半部分を先行して掘り進め、その後、下半部分を掘削していく方式です。これにより、地山の安定性を保ちながら、安全かつ効率的にトンネルを建設することができます。

トンネルの上部からは、黒森峠の鞍部を望むことができます。トンネル開通以前の旧道は、ヘアピンカーブが連続する難所であり、冬季には閉鎖されていました。路線バスも運休を余儀なくされる状況でしたが、黒森トンネルの開通により、年間を通じて安定した交通が確保されるようになりました。旧会津本街道、白河街道時代には、ヘアピンカーブをショートカットする直登コースが存在し、上からロープが垂らされていたという逸話も残っています。

付近には勢至堂トンネルもあり、黒森トンネルと合わせて、県南地方と会津地方の連絡がより容易になりました。

黒森トンネルは、地域の交通インフラを大きく改善し、経済活動の活性化に貢献しています。

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