黒潮会

黒潮会について

黒潮会（こくちょうかい）は、1894年頃に創設された潮沫会が前身で、日本の海軍省に関連する報道活動を行った記者クラブです。平時から有事に至るまで、海軍に関する情報を収集し、報道することが目的とされました。特に日露戦争や日中戦争において、その重要性が増し、多くの記者が活動したことで知られています。

沿革

黒潮会の前身である潮沫会は、1904年に設立されました。当初、日露戦争の際の公報等は潮沫会を通じて提供されていましたが、設立3か月後に潮沫の名は沈没を連想させるとの理由から、黒潮会へと改名されました。1925年には、33名の会員が在籍しており、海軍省の広報部門である海軍軍事普及委員会とも連携していました。

昭和初期、海軍の政治的中立性が強まると、黒潮会の重要性は一時的に低下しましたが、1937年の日中戦争が始まると再び注目を浴びるようになりました。この時期、特に重要な会見には多くの記者が集まり、報道機関間での競争が生じました。

また、この時期には、社会部からの会員参加が議題となり、最終的には1941年に社会部記者も黒潮会に参加できるようになりました。しかし、戦時中には一部の情報が特定の通信社にのみ提供されることがあり、会員の間で不満が高まることもありました。

海軍との関係

黒潮会は、海軍省庁舎内に専用の部屋を持ち、海軍大臣の公式記者会見やイベントに参加する機会がありました。しかし、軍令部との直接的な関係はなく、主に海軍省関係者を中心に取材が行われていました。日中戦争の進行に伴う報道の重視により、様々な報道機関との関係が形成され、その内容も多様化しました。

記者個々の立場や報道の姿勢は異なり、海軍に好意的な報道を行う新聞社もあれば、批判的な立場を取る社も存在したため、黒潮会の活動には多様な視点がありました。

加盟記者

創立当初、黒潮会の会員は主に政治部記者から構成されていました。著名な記者には、戦後に戦史家となった伊藤正徳や、ワシントン海軍軍縮条約の際に特ダネを報じた緒方竹虎がいます。1941年以降、社会部からの有力報道者も加わり、報道の幅が広がりました。

会員には、戦況報道に従事した文学的才能に秀でた記者もおり、彼らによる報道は、戦時中の重要な情報源となりました。

結論

黒潮会は、日本の海軍報道における歴史的な役割を果たし、その活動は時代の影響を受けつつも多様な視点から海軍の情報を伝えてきました。全体として、黒潮会は、日本海軍の記者クラブとして重要かつ影響力のある存在であり続けました。その歴史は、戦時中の報道活動の変遷を理解する上で欠かせないものとなっています。

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