黒田明伸

黒田明伸（くろだ あきのぶ）は、1958年2月25日生まれの日本の歴史学者です。東京大学東洋文化研究所の教授として、世界貨幣史と中国経済史を専門に研究しています。

学歴と職歴

北海道札幌市出身の黒田氏は、1980年に京都大学文学部を卒業しました。その後、京都大学大学院文学研究科博士後期課程に進みましたが、1985年に単位取得退学しています。1986年には京都大学文学部の助手となり、研究者のキャリアをスタートさせました。その後、1987年に大阪教育大学の講師、1989年には名古屋大学教養部の助教授を務めました。

1995年には、京都大学から博士（経済学）の学位を授与されました。博士論文の題目は「中華帝国の構造と世界経済」であり、この研究は後の彼の著作や研究活動に大きな影響を与えています。1997年には、東京大学東洋文化研究所の助教授に就任し、2002年からは同研究所の教授として教鞭を執っています。

研究分野

黒田教授の研究は、世界貨幣史と中国経済史を軸に展開されています。特に、貨幣システムの歴史的変遷とその背後にある経済構造の解明に力を注いでいます。彼の研究は、単に貨幣の歴史を記述するだけでなく、その背後にある社会構造や権力関係、そして経済的な非対称性に焦点を当てています。

主な著書

黒田教授は、数々の著作を発表しており、その中でも特に重要なものとして以下のものがあります。

『中華帝国の構造と世界経済』（名古屋大学出版会、1994年）
この著作は、彼の博士論文を基にしたもので、中華帝国の経済構造と世界経済との関係を詳細に分析したものです。サントリー学芸賞を受賞するなど、高い評価を得ています。
『貨幣システムの世界史 〈非対称性〉をよむ』（岩波書店、2003年、増補新版2014年）
この著作では、貨幣システムの歴史を世界史的な視野で捉え、その背後にある非対称性を解き明かそうとしています。この本は、韓国語版（『화폐시스템의세계사 ‘비대칭성을읽는다’』 論衡、2005年）と中国語版（『货币制度的世界史-解释非对称性』 中国人民大学出版社、2007年）も出版されており、国際的にも注目されています。

その他の研究活動

黒田教授は、研究活動の一環として、複数の論文を発表しています。それらの論文では、歴史的な視点から貨幣の役割を考察し、経済学や社会学の分野にも影響を与えています。以下は、代表的な論文の一部です。

COMPLEMENTARITY NON-INTEGRABLE AMONG MONIES IN HISTORY: NATURE OF CURRENCY AS VISCOUS, NON-UNIFORM, AND SEPARABLE STREAM （2006年）
Seasonality, paper monies, and peasant economy: Revisiting the International Gold Standard System （2011年）
* 'FAMINES of CASH' Locality of Money Ubiquitous through Human History （2013年）

また、YouTubeでは、黒田教授の講義映像（Lecture by Prof. Kuroda Akinobu at the 2nd CCS2013）を視聴することができます。

専門分野の重要性

黒田教授の研究は、歴史的な視点から経済現象を理解する上で非常に重要です。貨幣システムは、経済活動の中心的な要素であり、その歴史的な変遷を理解することは、現代社会の経済問題を考える上でも不可欠です。黒田教授の研究は、歴史学、経済学、社会学といった多様な分野に貢献しており、その学術的な影響は非常に大きいと言えるでしょう。

黒田明伸教授は、その卓越した研究業績を通じて、世界貨幣史と中国経済史の分野における第一人者としての地位を確立しています。彼の研究は、歴史的な視点から経済問題を捉えるための重要な基盤を提供し続けています。

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