黒田直静

黒田直静（くろだ なおちか）

上総久留里藩の第7代藩主である黒田直静は、文化7年（1810年）3月15日に江戸の下谷邸で生を受けた。彼は第5代藩主である黒田直方の庶子として誕生し、家族の中では次男としての位置づけだったが、長兄の直明が若くして亡くなったため、幼少期には大きな影響を受けることとなった。

生い立ちと藩主としての道のり

文化9年（1812年）、黒田直方は隠居し、その際にはまだ直静が幼かったため、彼は家督を継ぐことができなかった。しかし、文政3年（1820年）には第6代藩主・直侯の養子となり、文政6年（1823年）10月21日には直侯が隠居したことによって家督を正式に継承した。

藩主としての彼のキャリアは順調に進展し、文政9年（1826年）12月には従五位下、豊前守に叙位・任官される。この頃から彼は藩政において様々な施策を講じることとなる。

教育の振興と軍備の強化

特に目を引くのは、天保13年（1842年）11月に藩校「三近塾」を設立した点である。この学校の設立は、藩士に対する教育の重要性を認識し、今後の藩の発展を見据えたものだった。また、外国船の脅威に備えるため、大砲の鋳造を進めるなど、軍備の強化にも力を注いだ。

自然災害と藩財政の困難

しかし、彼の治世の中で藩財政は厳しい状況に晒されることとなった。弘化3年（1846年）には、利根川の氾濫が発生し、藩領の武蔵や上野で大規模な被害をもたらした。これにより藩の財政はさらに厳しくなり、直静はその逆境に立ち向かうこととなった。

最期と後継者

嘉永7年（1854年）4月26日、黒田直静は45歳でこの世を去った。彼の死は藩にとって大きな衝撃であり、跡を養子の直和が継ぐこととなった。直静はその短い生涯の中で、藩のために数々の施策を残し、教育と軍備の強化を通じて藩の未来を見据えた藩主としての姿勢を忘れられることはないだろう。

家族と系譜

彼の家族についても触れておくべきであろう。父は黒田直方であり、養父は黒田直侯である。直静の正室には鎮子があり、彼女は秋田孝季の娘であった。また、直静は四男をもうけ、その名は加納久恒である。養子としても黒田直和が彼に託されたが、これは直静とその家族にとって重要な継承を意味している。

このように、黒田直静は藩政における教育と軍備の強化を図りながら、困難な時代を乗り越えることに力を尽力した藩主であった。

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