黒米

黒米（くろまい）とは

黒米とは、イネの特定の品種であり、特にアントシアニン系の紫黒色素を含む玄米の一種で、一般にその果皮に紫黒色素が現れます。中国では「紫米」「紫糯」「黒糯」といった呼称が用いられることもあります。青や赤の米と同じく、黒米は古代から栽培され、さまざまな利用法がありますが、その特徴は栄養価の高さや抗酸化作用にあります。

性質と健康効果

黒米にはビタミン群（特にビタミンB群やビタミンE）やミネラル（リン、カルシウムなど）が豊富に含まれています。これらは滋養強壮に寄与するため、古くから健康食品として利用されてきました。また、黒米は特に抗酸化物質が含まれており、白米や赤米よりも優れた抗酸化機能を持つと言われています。アントシアニンは目の健康や肝機能の向上にも寄与することが知られています。

栽培環境によっては、着色度合いが異なり、特に高温や乾燥の気候では色が薄くなることがあります。また、収穫後の稲穂は、出穂後1〜2週間が最も鮮やかで美しい色合いを見せます。黒米は吸肥力が高く、多様な環境でも育成しやすい特性を持っていますが、その反面、丈が長く倒れやすいことや、収穫量が少ないという課題も存在します。

用途

黒米はそのまま食用として用いるほか、保存性が低いことから加工されることが多く、酒、うどん、蕎麦、餅、菓子、パンなど、多彩な製品に利用されます。また、黒米は染色にも用いられ、藁はリースや注連縄、ドライフラワーなどに加工されます。1980年代の日本では、有色米を利用した酒の製造方法が特許を取得し、特に黒米を使用した赤色のライスワインの開発にも成功しています。

歴史

黒米は中国や東南アジアの多くの国々で古くから栽培されてきました。中国では「紫米」などの名称で呼ばれ、酒や漢方、産婦の栄養源としても利用されました。バリ島においても在来種が栽培されており、ミャンマー、タイ、マレーシア、カンボジア、ラオス、ベトナム、フィリピン、台湾、ネパールなどでも黒米が栽培されています。

日本においては、1989年に農林水産省による「スーパーライス計画」が始まり、品種改良が進められています。

品種

黒米にはさまざまな品種があり、その中でも特に日本で育成された品種をいくつか挙げます。例えば、若干の早生で収量が良い「朝紫」や、大粒で収量の多い「おくのむらさき」、粳種の「天紫」など。特に「接骨糯」という品種は中国雲南省で育てられており、特徴的な名前の由来には蒸した際の特性が隠れています。その他にも、中国各地で育成された半改良種が存在しますが、これらは収量が少ないという欠点を抱えています。

このように黒米は、多くの栄養素を含み歴史的な背景を持ちながら、現代でも食品としての需要が高い特別な米であることがわかります。

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