黒羊朝

黒羊朝

黒羊朝（こくようちょう、ペルシャ語：قرا قویونلو）は、1375年から1468年にかけてイラク北部からアナトリア半島、そしてアゼルバイジャンやイラン西部まで広がる地域を支配したテュルク系のイスラム王朝です。この王朝は、主にテュルク系遊牧民の部族連合であるトゥルクマーンを基盤として形成されました。その名はトルコ語において「黒い羊」を意味するカラ・コユンルに由来していますが、その具体的な語源は定かではありません。

歴史的背景

黒羊朝は、イルハン朝の時代に活動するトゥルクマーンの部族連合から出発しました。彼らは当初、ヴァン湖周辺を夏の営地、モースル周辺を冬の営地として遊牧生活をしながら地域の支配権を強化していきました。14世紀の後半、バイラム・ホジャという部族の首長が権力を固め、ジャライル朝に服属しました。同じく彼の子であるカラ・ムハンマドは反乱を試みましたが、失敗に終わります。

第3代君主、カラ・ユースフの在位中には、ティムールによる侵攻に対抗し、最終的には支配権を回復しました。1408年には、アゼルバイジャンの主要都市タブリーズを手に入れ、その後1411年にはバグダードを占領し、イラクの支配を確立しました。1419年にはガズヴィーンまで占領し、その範囲を広げましたが、1420年にはティムール朝のシャー・ルフの遠征を受け、アゼルバイジャンの東方領土を奪還される結果となります。

カラ・ユースフの死後、彼の息子カラ・イスカンダルが王朝を再統一し、ティムール朝との争いが続きました。彼は白羊朝のカラ・オスマンを打ち破るなど、部族間での覇権を巡る競争も激化します。1458年、ジャハーン・シャーがティムール朝の中心地であるホラーサーンまで進出し、一時的に都ヘラートを占領するなどの成功を収めましたが、その後の混乱は避けられませんでした。

1467年、ジャハーン・シャーは西方のウズン・ハサンに対抗するために遠征を行いますが、その際に急襲を受けて命を落とします。この事件により黒羊朝は急速に混乱し、分裂が進んでいきました。一方、ウズン・ハサンは黒羊朝の王族を次々と撃破し、数年のうちに黒羊朝はその勢力を完全に失うこととなります。滅亡後、王朝を構成していた一部の集団はインドへ移住し、16世紀初頭にはクトゥブ・シャーヒー朝を樹立します。

歴代君主

黒羊朝は数代の君主にわたり支配され、各時代においてその権力を維持しようと努めましたが、歴史的に見て、外部勢力との関係や内部の権力闘争により、最終的には滅亡への道を辿ることとなりました。 注目すべきは、黒羊朝の影響が、中東の歴史の中でどのように位置付けられるかという点です。彼らは地域における政治の変遷の中で重要な役割を果たしました。

黒羊朝のそこにあった意義や彼らが新たな支配権を確立するために行った活動は、今なお歴史的な研究の対象として注目されています。

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