ヴァン湖

ヴァン湖の概要

ヴァン湖（トルコ語: Van Gölü）は、トルコ共和国の東アナトリア地方に位置する大規模な湖であり、トルコでは最大の面積を誇ります。周囲の山々から流れる小川が集まり形成されたこの湖は、古代の火山活動によって流出が阻まれた結果、塩湖として知られています。この湖はヴァン県とビトリス県にまたがるように広がっており、周囲には美しい自然や歴史的な遺跡が点在しています。

湖の特徴

ヴァン湖の最大幅は119キロメートル、平均水深は171メートル、そして最大水深は451メートルという壮大な特徴を持っています。水面の標高は海抜1,640メートルで、湖の周囲を巡る長さはおおよそ430キロメートルにわたります。湖の面積は3,755平方キロメートルで、貯水量は607立方キロメートルです。特筆すべきは、湖の西側が非常に深く、特にタトワンの北東からアフラトの南側にかけての水深は400メートル以下にはなりません。一方、湖の東側は比較的浅く、ヴァンとアクダマル島の間では最大水深250メートルに達する地形が広がっています。

湖水の性質

ヴァン湖の水は強いアルカリ性を持ち、pHは9.7から9.8の範囲です。湖には炭酸ナトリウムをはじめとする多くの塩類が豊富に含まれ、これらは水の蒸発によって得られ、洗剤として利用されることもあります。また、流出河川が存在しないため、湖の水は細かな化学変化を経て白濁することがあり、周辺地域では「水の色が七色に変わる」との伝説もあります。

地質学的背景

ヴァン湖の流出は、過去に起こったネムルト山の溶岩流によって西側のムシュ平原への流れが遮られた結果とされています。湖の西岸には現在でもネムルト山がそびえ立ち、その北岸には成層火山のシュプハン山が存在します。湖の水位は経年変化を経て大きく変動し、例えば18,000年前の氷河期には現在より72メートルも高い水面が記録されていました。さらに、1990年代には水位が3メートル上昇し、多くの農地が水没する事例が見られました。

歴史的な遺産

湖岸には古代ウラルトゥ王国の首都トゥシュパが存在し、その遺跡は現在も訪れる人々を魅了しています。湖内にはアクダマル島があり、ここには10世紀に建てられたアルメニア使徒教会の遺構が残されています。また、ヴァン湖とタトワンの間には鉄道連絡船が運行されており、鉄道の利便性も湖の魅力の一つとなっています。近年では、湖底で発見された紀元前1,000年頃の古代の都市や城の遺跡が話題を呼びました。

余談

1997年には、未確認生物が湖で撮影されたことが報じられるなど、ヴァン湖は不思議な魅力を持つ場所でもあります。湖岸の自然と文化遺産が織りなすこの地域は、多くの研究者や観光客を惹きつけ続けています。

もう一度検索