鼓岡神社

鼓岡神社：崇徳上皇の最期の地

香川県坂出市府中町に鎮座する鼓岡神社は、保元の乱に敗れ、讃岐国に流された崇徳上皇が最晩年の6年間を過ごした地を祀る神社です。崇徳上皇の悲劇的な生涯と深い関わりを持つこの神社は、歴史と自然が織りなす静謐な空間が広がり、多くの歴史愛好家や観光客を魅了しています。

上皇の辿った道

保元元年（1156年）、保元の乱で敗れた崇徳上皇は、讃岐国へと配流されました。上皇はまず「在庁高遠の松山の御堂（雲井御所跡）」に入り、その後「直島」の御所を経て、最終的に「鼓の岡」に新たな御所を造営し、そこで過ごしたと伝えられています。様々な史料の記述を総合すると、上皇は鳥羽から船で瀬戸内海沿岸を航海し、直島に立ち寄ったのち讃岐に上陸。在庁高遠の松山の御堂で約3年を過ごした後、「鼓の岡」の御所である「木の丸殿」に移り、1164年（長寛2年）に46歳で崩御されました。

木の丸殿と周辺の史跡

「木の丸殿」は、崇徳上皇が6年以上にわたって生活した御所です。神社周辺には、讃岐国府跡や、内裏泉、菊塚、怨塚など、上皇ゆかりの史跡が点在しています。これらの史跡は、当時の情景を偲ばせる貴重な文化財であり、上皇の最期の歳月を知る上で重要な手がかりとなります。

特に、内裏泉は木の丸殿裏にある湧き水で、枯れたことがないと言われ、上皇が使用したと伝えられています。菊塚は、上皇と綾の局の間にできた皇子・顕末の墓とされ、幼くして亡くなったと伝えられています。怨塚は、上皇が使った食器を埋めて供養した塚です。これらの史跡は、上皇の生活や心情を想像させる、静かな物語を語りかけています。

鼓岡神社の由緒と境内

崇徳上皇の崩御後、阿闍梨章実が白峰に移して菩提を弔う頓証寺（白峯寺境内）を建立したという説と、章実が御所を白峰に移したのち、跡地に代わるものとして鼓岡神社が建てられたという説があります。『玉葉』には、崩御の地に一堂を設けるよう沙汰が下されていることが記されており、それが当社の草創につながったという伝承もあります。

神社の境内には、一の鳥居、拝殿、本殿、三尊堂（崇徳上皇御念持仏三尊を祀る）、擬古堂（木の丸殿を模して造られた建物）、杜鵑塚、歌碑、鼓岡行宮旧跡碑など、多くの見所があります。擬古堂は、大正2年（1913年）の崇徳上皇750年大祭の際に、木の丸殿の雰囲気を模して造られたものです。また、杜鵑塚は、上皇が詠んだ歌「啼けば聞く聞けば都の恋しきに この里過ぎよ山ほととぎす」にちなみ、里人が杜鵑を供養するために作った塚です。

さらに、柳田碑は、上皇が暗殺されたと伝えられる場所で、刺客から逃れる際に柳の木に隠れたが、衣が川面に写って見つかってしまったとされる場所です。

アクセスと周辺情報

鼓岡神社へのアクセスは、JR四国予讃線（瀬戸大橋線）讃岐府中駅から徒歩約12分です。周辺には、讃岐国府跡、開法寺塔跡、城山神社、香川県埋蔵文化財センターなど、歴史的な史跡や施設が多く存在しています。これらの史跡を訪れることで、崇徳上皇の時代背景や、この地域の歴史をより深く理解することができます。

鼓岡神社は、静寂な空間に包まれた歴史の遺構であり、崇徳上皇の生涯と深い繋がりを持つ貴重な場所です。訪れる際には、上皇の波乱に満ちた人生に思いを馳せながら、静かに境内を散策してみてください。静寂の中に、歴史の重みを感じることができるでしょう。

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