鼠咬症

鼠咬症（そこうしょう）について

鼠咬症は、異なる二つの原因菌によって引き起こされる感染症の総称です。一般的には鼠咬熱（Rat-bite fever）とも呼ばれ、人獣共通感染症の一つに分類されます。この疾患には、鼠咬症スピロヘータ感染症とモニリホルム連鎖桿菌感染症が含まれます。

原因

この感染症を引き起こす原因菌には、鼠咬症スピロヘータ感染症に関与するSpirillum minusと、モニリホルム連鎖桿菌感染症を引き起こすStreptobacillus moniliformisが存在します。これらの菌は主にネズミの体内で生息し、咬傷を通じて人間に感染します。

疫学

感染は、ネズミによる咬傷を介して人間に伝播します。特に日本では、スピロヘータによる感染が多く報告されています。このため、ネズミとの接触を避けることが非常に重要です。

症状

鼠咬症にかかると、症状は感染の種類によって異なります。

• - 鼠咬症スピロヘータ感染症の場合：感染から1～2週間後に発熱、咬傷部位の潰瘍、さらには周囲のリンパ節が腫れることが特徴です。
• - モニリホルム連鎖桿菌感染症の場合：感染から10日以内に発熱、頭痛、多関節炎の症状が現れ、局所リンパ節の腫れも見られます。

どちらの感染症も、重篤な合併症を引き起こす可能性があり、心内膜炎、肺炎、肝炎などが発生することがあります。また、通常ネズミ自体はこれらの菌に対して無症状であることが多いです。

診断

診断は、主に患者の症状や既往歴、ネズミとの接触歴を考慮して行われます。血液検査や組織の検査も診断に役立ちますが、確定的な診断には専門的な検査が必要です。

治療

鼠咬症の治療には、感受性のある抗生物質が用いられます。早期の治療が重要であり、適切な抗生物質を使用することで、症状の悪化を防ぎ、迅速な回復が期待できます。

予防

予防策としては、まずネズミの駆除が挙げられます。家庭や周囲の環境を清潔に保ち、食べ物を適切に保管することが、ネズミの侵入を防ぐために重要です。また、ネズミに咬まれないように注意を払うことも欠かせません。

関連項目

鼠咬症に関連する項目として、動物による咬傷などが挙げられます。これらの情報を踏まえ、適切な対策を講じることが大切です。

参考文献

• - 清水悠紀臣 ほか著『動物の感染症』近代出版、2002年、375頁。ISBN 4874020747。
• - 明石博臣, 木内明男, 原澤亮, 本多英一共著『動物微生物学』朝倉書店、2008年、209頁。ISBN 9784254460285。

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