鼻毛石町

群馬県前橋市に属する地域の一つ、鼻毛石町（はなげいしまち）は、市の北部、赤城山の南斜面に広がる自然豊かな場所です。荒砥川によって形成された小さな扇状地の上に位置しており、地域内には緑地が多く見られます。現在の住所表示では丁目はなく、地名に続けて直接地番が付されており、郵便番号は371-0244です。2013年時点での面積は5.33平方キロメートルとなっています。

この地域は、かつて勢多郡宮城村の一部であった時代には、村内の大字「鼻毛石」に属する地域として位置づけられていました。その歴史は戦国時代に遡ると言われ、古くから集落が存在していたと考えられています。江戸時代には領主が変遷し、大胡藩領から前橋藩領、幕府領を経て、再び前橋藩領となりました。

近代以降の変遷としては、1889年に市町村制が施行された際に、周辺の7つの村が合併し、勢多郡宮城村大字鼻毛石として新たな歩みを始めました。交通網では、1993年4月1日に町内を通る群馬県道大間々宮城子持線が国道353号へと昇格し、地域で初めて国道が開通するという出来事がありました。そして、2004年の平成の大合併では、宮城村が大胡町、粕川村と共に前橋市に編入され、現在の群馬県前橋市鼻毛石町となりました。合併後も地域の中心機能は維持され、2009年8月には現在の前橋市役所宮城支所が竣工しています。また、2017年5月12日には、鼻毛石町を含む前橋・赤城地域が、生活の質の向上を目指す国際的な運動である「チッタスロー国際連盟」に加盟しました。

地名の由来についてはいくつかの説が伝えられています。最も有力とされるのは、町内にある「鼻石」（はないし）と呼ばれる岩がその名の起源であるという説です。前橋市への合併前には、「鼻ヶ石」（はながいし）や「鼻石」（はないし）といった表記も混在していましたが、合併を機に「鼻毛石」に統一されました。他の説としては、その「鼻石」に草が生え、それが鼻毛のように見えたことから「鼻毛石」と呼ばれるようになったという話も語り継がれています。

鼻毛石町は、旧宮城村を構成していた地域（柏倉町、市之関町、三夜沢町、苗ヶ島町、馬場町、大前田町など）の中でも、前橋市役所宮城支所や前橋市立宮城小学校、前橋市立宮城中学校といった主要な行政・教育施設が集まっていることから、地域における中心的な役割を担っています。

交通手段としては、町内に鉄道駅はありませんが、近隣の茂木町にある上毛電気鉄道上毛線の大胡駅が利用可能です。バスについては、過去に複数の路線がありましたが、現在は赤城タクシーが運行するデマンドバス方式の「ふるさとバス」が主な公共交通となっています。道路網では、北部に国道353号が通るほか、群馬県道101号四ツ塚原之郷前橋線、群馬県道114号苗ヶ島飯土井線、群馬県道333号上神梅大胡線、群馬県道16号大胡赤城線といった県道が主要な幹線道路として整備されています。

地域内の主な施設には、前橋市立宮城小学校、前橋市立宮城中学校、前橋市立宮城幼稚園といった教育機関に加え、前橋市役所宮城支所、前橋市宮城体育館、前橋市宮城総合運動場、宮城公民館などの公共施設があります。また、前橋市指定文化財も存在しています。

災害時の避難体制としては、自主避難所として前橋市役所宮城支所、指定緊急避難場所（一時避難所）として前橋市宮城体育館が指定されています。さらに、指定避難所（二次避難所）として、前橋市立宮城小学校、前橋市立宮城中学校、宮城公民館が設けられており、近隣地域も避難対象区域に含まれる場合があります。

このように、鼻毛石町は赤城山麓の豊かな自然に恵まれながらも、旧宮城村時代から地域の中核として発展してきた歴史を持ち、現在も行政や教育の拠点機能を担う前橋市内の重要な地域の一つです。
です。詳細については、『角川日本地名大辞典 10 群馬県』などを参照してください。

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