齊藤裕太

齊藤 裕太（さいとう ゆうた）は、1987年9月2日に神奈川県川崎市で生まれた日本の元プロボクサーです。花形ボクシングジムに所属し、第72代日本バンタム級王者として日本のボクシング界にその名を刻みました。キャリアの初期には北澤ジムでも腕を磨いています。

プロボクサーへの道のり

中学校時代は野球に打ち込んでいましたが、辰吉丈一郎氏の自伝を読んだことがきっかけでボクシングの世界に魅せられます。日出高校を卒業後、一度はボクシングジムの門を叩いたものの、約1年で競技から離れる期間がありました。しかし、ボクシングへの情熱は冷めやらず、22歳を迎えた頃、新たなジムに入門し、プロを目指すことを決意します。

プロキャリアの始まりと新人王獲得

2010年10月2日、後楽園ホールでプロデビュー戦となるフライ級4回戦に臨み、1回わずか1分1秒での鮮烈なKO勝利を収め、幸先の良いスタートを切りました。しかし、プロ2戦目では僅差の判定負けを喫し、プロ初黒星を経験します。

キャリアを重ねる中で実力を開花させ、2012年には東日本スーパーフライ級新人王を獲得。さらに、西軍代表との全日本新人王決定戦では5回TKO勝ちを収め、見事全日本新人王の座に輝くとともに、大会のMVPにも選出されました。この活躍により、JBCの発表するスーパーフライ級の日本ランキングに初めて名を連ねることになります。

苦難からの復活と王座挑戦

新人王獲得後、齊藤選手は引き分けを挟んで3連敗という苦しい時期を経験します。しかし、2015年6月7日に行われた試合で、日本バンタム級7位（当時）の中野敬太選手に判定勝ちを収め、連敗を脱出。バンタム級での新たなキャリアを歩み始めます。

2017年8月5日、「ダイナミックグローブ」のメインイベントとして、後楽園ホールで日本バンタム級王者（当時）の赤穂亮選手とのタイトルマッチに挑戦。この試合では5回に赤穂選手からダウンを奪う健闘を見せますが、惜しくも9回TKO負けを喫し、王座獲得はなりませんでした。

悲願の日本バンタム級王座獲得

翌2018年、齊藤選手は再び日本バンタム級王座決定戦の機会を得ます。同年6月22日に予定されていた村中優選手との一戦は、相手選手の減量失敗により中止という不運に見舞われました。しかし、同年9月1日、後楽園ホールで行われた「ダイナミックグローブ」で、日本バンタム級3位（当時）の菊地栄太選手と改めて王座決定戦に臨みます。この試合で齊藤選手は持ち前の強打を発揮し、2回2分33秒TKO勝利を収め、第72代日本バンタム級王者の栄冠を掴み取りました。

王座獲得後の初防衛戦は、病気により一度延期となりますが、2019年4月18日、「DANGAN222」のリングで、日本バンタム級暫定王者（当時）の木村隼人選手との王座統一戦として実現しました。この試合も齊藤選手が優位に進め、5回2分8秒TKO勝ちを収め、王座の統一に成功するとともに、初防衛を果たしました。

王座陥落と引退

初防衛成功から約3ヶ月後の2019年7月27日、齊藤選手は後楽園ホールで日本バンタム級1位（当時）の鈴木悠介選手と対戦。タイトルを賭けたこの一戦はフルラウンドにもつれ込む激闘となりましたが、10回判定0-3で敗れ、王座から陥落しました。この試合をもって、齊藤裕太選手はプロボクサーとしてのキャリアに終止符を打ち、リングを去りました。

プロ戦績は25戦12勝（9KO）10敗3分。全日本スーパーフライ級新人王、そして第72代日本バンタム級王者（防衛1）という確かな実績を残し、そのキャリアを終えています。

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