［(an imitation) blood orange］

アルバム『(an imitation) blood orange』の全貌

Mr.Childrenの17枚目のオリジナルアルバム『(an imitation) blood orange』は、2012年11月28日にトイズファクトリーから発売されました。このアルバムは、特に東日本大震災の影響を色濃く反映した作品であり、全体に流れるテーマは深い感情と意義を持っています。

発売背景

アルバムは、初回限定盤と通常盤の2形態でリリースされ、初回限定盤にはミュージックビデオを収めたDVDが付属しています。ジャケットデザインは丹下紘希によるもので、シンプルながらも魅力的なオレンジの表面を背景にアルバムタイトルが書かれています。また、発売の際は多くのメディアで広告が出され、注目度も高いものでした。

前作『SENSE』から約2年ぶりのオリジナルアルバムとして、彼らの精力的な活動が続いていました。前作に比べて、本作では11曲中8曲がすでに公開されており、聞き手の期待感をさらに高めています。また、このアルバムのマスタリングにはテッド・ジェンセンが引き続き関わっています。

音楽スタイルとテーマ

『(an imitation) blood orange』は、バラードを多く収録しており、スローテンポの楽曲が大半を占めています。アルバム全体のコンセプトについて、桜井和寿は震災の影響に触れる中で、自身の音楽観に対する葛藤を述べ、「このアルバムは悲しみや苦しみを内包しないものにしたい」と語っています。このような中から生まれた音楽は、聴く人にできるだけポジティブなメッセージを届けることを目指しています。

アルバムタイトルは、桜井がオランジーナを味わった際にインスパイアを受けたとされています。彼自身が感じた甘酸っぱさと、血を意味する「ブラッド」によるリアルな感覚が、彼の音楽に新たな魅力を加えているという意図が読み取れます。

収録曲と代表曲

本作には、様々な楽曲が収められています。中でも「hypnosis」は4th配信限定シングルとして注目され、「Marshmallow day」は資生堂のCMソングとして知られています。また「常套句」はドラマの主題歌として多くの視聴者に楽しまれました。このように、アルバムにはエンターテイメント性の高い楽曲が揃い、幅広いアプローチが感じられます。

一方で、「過去と未来と交信する男」では震災をテーマにした明るい希望を歌っています。桜井はこの楽曲を通じて、震災の影響を乗り越える姿勢を表現しています。

チャート成績

リリース初週の売上は53万枚を記録し、オリジナルアルバムとしては12作連続で初週50万枚を突破したという快挙を達成しました。累計売上は77.6万枚に達し、2012年のオリコン年間アルバムランキングでは8位にランクイン。さらに、Mr.Childrenはこの年に発表した他のベスト・アルバムとも相まって、その名をさらに高めています。

まとめ

『(an imitation) blood orange』は、震災を背景にした重厚で深いテーマを持ちながら、聴く人に希望やポジティブなメッセージを届けることを意図した作品です。楽曲の質、ビジュアルコンセプト、プロデュースにいたるまで、Mr.Childrenの音楽の進化を感じさせる内容となっています。このアルバムは、彼らの音楽史における重要な一章として、多くのファンに愛され続けています。

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