.38スペシャル弾

.38スペシャル弾：1世紀以上愛されるリボルバー弾薬

.38スペシャル弾（.38 Special, .38 Spl, .38 Spc）は、スミス&ウェッソン社が開発したリムド・センターファイア弾薬です。主にリボルバーで使用されますが、一部の自動拳銃やカービン銃にも使用されることがあります。

歴史と特徴

1898年に.38ロングコルト弾の改良型として登場しました。当初は黒色火薬を使用していましたが、すぐに無煙火薬を使用するようになりました。1920年代から1990年代初頭まで、アメリカの警察組織で標準弾薬として採用され、第一次世界大戦では兵士のサイドアーム用カートリッジとして広く使用されました。メートル法では、9x29.5mmRや9.1x29mmRと表記されることもあります。

名称に「.38」とありますが、実際の口径は.357～.358インチ（9.067mm）です。これは、薬莢のおおよその直径を示しています。

.38スペシャル弾は、優れた精度と制御しやすい反動が特徴で、発表から1世紀以上経った現在でも、世界中で最も人気のあるリボルバー用カートリッジの一つです。標的射撃、競技、護身用、小動物の狩猟など、幅広い用途で利用されています。

寸法と互換性

薬莢の長さを除けば、.38スペシャルの寸法は.38ロングコルト弾や.357マグナム弾と同じです。そのため、.38スペシャル弾は.357マグナム口径のリボルバーで安全に発射でき、.38ロングコルト弾は.38スペシャル口径のリボルバーで使用できます。

ただし、強力な.357マグナム弾は、.38スペシャル用に設計されたリボルバー（例：S&W M10）では使用できません。これは、.357マグナム弾の高い圧力に.38スペシャルリボルバーが耐えられないためです。

バリエーションと発展

1920年代後半には、重さ200グレーンのラウンドノーズ弾頭を用いた.38スーパーポリス弾が登場しました。この弾は、低速で発射された際に「キーホール」現象を起こしやすく、大きな衝撃を与えることがわかりました。

1930年には、スミス&ウェッソンが頑丈なNフレームを使用した.38スペシャル・リボルバーを発表しました。また、自動車の車体などを貫通できる弾薬として、158グレーンのメタルチップ弾頭を使用した高速弾も開発されました。これらの発展が、後の.357マグナム弾の開発につながりました。

第二次世界大戦中には、アメリカ軍の航空機乗員にS&Wビクトリーモデルが支給されました。また、ハーグ陸戦条約に適合するよう、158グレーンの銅製被甲弾頭を使用した軍用.38スペシャル弾薬が開発されました。さらに、信号弾として曳光弾も支給されました。

1956年には、アメリカ空軍が.38スペシャル弾の軍用バリエーションであるM41ボール弾薬を採用しました。これは、アルミ合金製のリボルバーの寿命を延ばすために開発されました。その後、M41スペシャル弾薬や、より強力なPGU-12/B高速弾薬も登場しました。

1970年代には、高圧の.38スペシャル+P弾が登場し、.357マグナム・リボルバーでも使用可能となりました。さらに、法執行機関向けに.38スペシャル+P+弾も開発されました。

性能とハンドロード

.38スペシャル弾は、元々黒色火薬を使用していたため、比較的低圧の弾薬です。現代の標準では、中程度の弾頭を比較的低速で発射します。

より高圧の.38+P弾は、.380ACP弾と9mmパラベラム弾の中間程度の性能を持ちます。

.38スペシャル弾はハンドロードでも人気が高く、様々な火薬を使い分けることで、幅広い威力の弾薬を自作できます。安全に配慮すれば、無反動に近いロードから、.357マグナムに近いロードまで作成可能です。

現在の状況

現在でも一部の警察組織で.38スペシャル・リボルバーが使用されていますが、ほとんどの警察組織は装弾数が多くリロードが早い、9mmパラベラムなどの自動拳銃に移行しています。

まとめ

.38スペシャル弾は、その優れた性能と汎用性から、1世紀以上にわたって世界中で愛されてきた弾薬です。リボルバー愛好家にとって、欠かせない存在と言えるでしょう。

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