.50"/62ヴィッカース機関銃

.50インチ/62 ヴィッカース機関銃

.50インチ/62ヴィッカース機関銃、通称Vickers .50'は、イギリスで開発された重機関銃です。もともと.303インチ（7.7mm）口径のヴィッカース重機関銃を、12.7mm口径に拡大したものです。この機関銃は、イギリス軍だけでなく、日本海軍でも採用され、様々な場所で使用されました。

開発と採用

.50インチ/62ヴィッカース機関銃は、主に以下の目的で使用されました。

対空機関銃: 高射砲として、航空機への攻撃に使用されました。
戦車砲: 戦車に搭載され、装甲車両や陣地への攻撃に使用されました。

日本海軍では、この機関銃を「毘式十二粍単装機銃」として採用しました。吹雪型駆逐艦や暁型駆逐艦の一部に搭載され、艦隊防空の一翼を担いました。また、装甲巡洋艦「八雲」にも搭載された経歴があります。

各型式

.50インチ/62ヴィッカース機関銃には、いくつかの型式が存在します。

Mark I

初期の試験用として製作されたモデルです。ヴィッカース機関銃の開発過程において重要な役割を果たしました。

Mark II, IV, V

Mark II: 1933年に採用され、イギリス軍の戦車に搭載されました。
Mark IV, V: Mark IIを改良したバージョンで、北アフリカ戦線で使用されたトラックにも搭載されました。

これらの型式は、後の15mmベサ機関銃に置き換えられるまで、装甲戦闘車両（AFV）の重要な武装でした。

Mark III

海軍向けの対空機関銃型です。主に第二次世界大戦中にイギリス海軍や連合軍海軍で使用されました。

通常は4連装、限定的に2連装で使用されました。
当時の航空機には威力が不足していたため、後に20mmエリコン機関砲に置き換えられました。
4連装機銃の場合、1挺あたり200発のマガジンを装備し、最大発射速度は1挺あたり毎分700発でした。
射程は910メートルで、幅18メートル、高さ15メートルの範囲をカバーできました。
ビッカース社は、20秒間で800発を射撃し、30秒で再装填が可能だと主張していました。

Mark IIIは、モーターガンボートや魚雷艇などの小型艦艇の動力式砲塔にも搭載されました。

性能と特徴

.50インチ/62ヴィッカース機関銃は、その高い発射速度と射程距離により、対空、対地両方での攻撃に威力を発揮しました。特に海軍型は、連装で使用することで、より効果的な攻撃が可能でした。

しかし、第二次世界大戦中盤以降は、より強力な20mm機関砲やその他の対空兵器の登場により、徐々にその役割を終えることとなりました。

参考文献

The Vickers Machine Gun
Tony DiGiulian, British 0.50"/62 (12.7 mm) Mark III
Anthony G Williams, THE .5" VICKERS GUNS AND AMMUNITION
Machine Guns

外部リンク

War Office, UK, Tank Training, Vol II Part III, Pamphlet No. 3. .5 inch Vickers Machine Guns Marks IV and II. 1936 from Google docs
War Office, UK, Tank Training, Vol II Part III, Pamphlet No. 5. .5 inch Vickers Machine Gun Mark V. 1937 from Google docs
War Office, UK, Machine Gun Handbook (Technical) Volume I, Pamphlet No. 1. Vickers .303-in. and .5-in. Machine Guns and Appurtenances. 1940 from Google docs
* LRDG -- WEAPONS

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