.NET Standard

.NET Standard（ドットネットスタンダード）とは

.NET Standardは、かつて.NET環境において、異なる.NETランタイム間でのAPIの差異を解消し、アプリケーションの可搬性を実現するために策定された統一API規格です。2000年代の.NETでは、.NET Framework、Mono、Xamarin、Unityなど、多様なランタイムが存在していました。

これらのランタイム間では、提供されるAPIに差異があり、たとえ命令セットレベルでの可搬性があったとしても、アプリケーションとしての可搬性は低いという課題がありました。この問題を解決するために提案されたのが、.NET Standardです。

.NET Standardの役割と影響

.NET Standardの策定と各ランタイムによる実装により、.NET Framework、Mono、Xamarin、Unityといった様々なプラットフォーム間でアプリケーションの可搬性が向上しました。開発者は、.NET Standardに準拠したコードを書くことで、複数のプラットフォームで動作するアプリケーションを開発することが可能になりました。

しかし、.NETが様々なプラットフォームへ展開され、実装が増えるにつれて、.NET Standardの変更が及ぼす影響範囲は大きくなりました。その結果、規格のバージョンアップに必要な合意形成にコストがかかるようになり、機能追加の速度が低下するという問題が生じました。

.NET Standardの終焉

.NET Frameworkを擁するマイクロソフトは、MonoとXamarinを買収し、多くの.NETランタイムがマイクロソフトの傘下へと集約されました。これらのランタイムの基盤は.NET Coreへと統合され、API標準化の必要性が薄れていきました。マイクロソフトは、.NET Standardがその歴史的役割を終えたとして、.NET Standard 2.1を最後に、規格の更新を終了すると発表しました。

.NET 5以降では、新たな.NET APIはランタイムの共通ライブラリとして、標準化を介さずに直接提供されるようになりました。これにより、開発者はより迅速に最新のAPIを利用できるようになり、より柔軟な開発が可能になりました。

まとめ

.NET Standardは、.NETの歴史において、異なるランタイム間でのAPIの差異を吸収し、アプリケーションの可搬性を向上させるという重要な役割を果たしました。しかし、.NETエコシステムの進化とともに、その役割は終わりを迎え、現在はより効率的な開発方法へと移行しています。 .NET Standardの歴史と貢献は、.NETの進化を理解する上で重要な要素の一つと言えるでしょう。

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