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.postドメイン

`.post`は、特定の目的に特化して運用される「スポンサー付きトップレベルドメイン（sTLD）」の一つです。これは、インターネット上の住所にあたるドメイン名において、最も階層の高い部分に位置づけられるドメインカテゴリです。

申請の経緯

このドメインは、国際連合の専門機関であり、世界の郵便事業を調整する役割を担う万国郵便連合（UPU）によって、2005年にインターネットのドメイン名を管理する組織であるICANNに対し申請されました。この申請の背景には、インターネット上での郵便サービスや関連情報の信頼性、セキュリティを確保するという目的がありました。フィッシング詐欺や不正なウェブサイトから利用者を保護し、正規の郵便関連サービスであることを明確に示すための仕組みとして構想されたのです。

利用開始までの道のり

申請から実際の利用開始までには、一定の時間を要しました。当初は2009年秋頃の締結・運用開始が期待されていましたが、この時点では合意に至りませんでした。その後、必要な手続きや準備が進められ、最終的に2012年7月になって、`.post`ドメインがインターネット上で実際に利用できるようになりました。申請から7年もの歳月を経て、ようやくその目的とする機能を提供できるようになった形です。

スポンサー付きトップレベルドメイン（sTLD）とは

スポンサー付きトップレベルドメイン（sTLD）は、特定のコミュニティや組織が管理・運営するトップレベルドメイン（TLD）を指します。一般的な分野別トップレベルドメイン（gTLD）が広く誰でも登録できるのに対し、sTLDはドメインを使用できる主体や目的に明確な制約があります。例えば、`.post`は万国郵便連合が定めた基準を満たす、主に各国の郵便事業体や国際的な郵便関連組織にのみ利用が認められています。これにより、そのドメインを使用しているウェブサイトやサービスが、信頼できる正規の組織によって運営されていることを保証しやすくなります。その他のsTLDには、教育機関向けの`.edu`や政府機関向けの`.gov`などがあります。

万国郵便連合（UPU）の役割

万国郵便連合（Universal Postal Union, UPU）は、1874年に設立された国際機関で、本部はスイスのベルンに置かれています。加盟国間の郵便物の交換に関する規則を定め、国際的な郵便サービス網の維持・発展に貢献しています。`.post`ドメインの管理主体となることで、UPUは物理的な郵便だけでなく、デジタルな空間における郵便関連サービスの信頼性確保にもその活動範囲を広げたと言えます。

.postドメインの目的と利用

`.post`ドメインは、郵便サービスの提供者や、公式な郵便関連の情報発信する組織が利用することを想定しています。これにより、インターネットユーザーは、アクセスしているサイトが万国郵便連合の基準を満たした信頼できる郵便関連リソースであることを容易に識別できるようになります。これは、オンライン取引や情報収集におけるユーザーの安心感を高める上で重要な役割を果たします。

このように、`.post`ドメインは単なるインターネットアドレスの一つではなく、万国郵便連合が国際的な郵便サービスの信頼性とセキュリティをデジタル時代においても維持・向上させるために戦略的に導入した、特定の目的を持つトップレベルドメインと言えます。その申請から利用開始までの経緯は、新しいドメインカテゴリがインターネットガバナンスの中で確立されていくプロセスの一例を示しています。

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