0.0.0.0

IPv4における0.0.0.0の特別な意味

IPv4アドレス `0.0.0.0` は、全てのビットが0で構成される特別なアドレスであり、ルーティング不可のメタアドレスとして扱われます。このアドレスは、無効、不明、または適用外の対象を指定するために使用され、複数の特別な意味が割り当てられています。主に、ホストアドレスとしての用法と、デフォルトルートとしての用法があります。

ホストアドレスとしての0.0.0.0

ホストアドレスとして `0.0.0.0` が使用される主なケースは以下の通りです。

1. 「任意のIPv4アドレス」を意味する:
サーバがクライアントからの接続を待機する際（ソケットをバインドする際）に、`0.0.0.0` を指定することで、ローカルマシンの全てのアドレスで接続を待ち受けます。C言語などのプログラミングでは、`INADDR_ANY` というマクロ定数で表現されることがあります。
例えば、サーバが `192.168.1.1` と `10.1.2.1` という2つのIPアドレスを持つ場合、サーバが `0.0.0.0` で待ち受けするように設定すると、どちらのIPアドレス宛の接続要求にも対応できます。

2. ホストがまだIPアドレスを持っていない場合:
ホストが起動し、まだIPアドレスが割り当てられていない状態のとき、自分自身を指すために `0.0.0.0` を使用することがあります。DHCP（Dynamic Host Configuration Protocol）でIPアドレスを取得する際、最初の `DHCPDISCOVER` パケットを送信する際に送信元アドレスとして `0.0.0.0` が利用されます。

3. DHCPによるアドレス取得失敗時:
DHCPによるIPアドレスの取得に失敗した場合、ホストが自身に割り当てるアドレスとして `0.0.0.0` が使用されることがあります（ただし、OSのIPスタックが対応している場合）。最近のオペレーティングシステムでは、APIPA（Automatic Private IP Addressing）メカニズムがこの役割を担うことが一般的です。

4. 対象が利用不可であることを明示的に示す:
何らかの理由で特定の対象が利用できない場合、`0.0.0.0` で明示的に指定することがあります。

デフォルトルートとしての0.0.0.0

ルーティングにおいては、`0.0.0.0` は、デフォルトルートのネットワークアドレスとして、サブネットマスク `0.0.0.0` と共に使用されます。これは、`0.0.0.0/0` または `0.0.0.0 0.0.0.0` と表現されます。

`0.0.0.0/0` は、IPv4アドレス空間内の全てのアドレスに一致し、ローカルルータに対するデフォルトゲートウェイとして機能します。つまり、ルーティングテーブルに明示的に指定された宛先ネットワーク以外への全てのトラフィックは、このデフォルトルートを介して送信されます。

IPv6における全0アドレス

IPv6では、全てのビットが0のアドレスは、通常 `::` と表現されます。IPv4の `0.0.0.0` と同様に特別な意味を持ちますが、用法は異なります。IPv6における `::` は、未指定のアドレス、または任意のIPv6アドレスを意味することがあります。

まとめ

`0.0.0.0` は、IPv4における特殊なアドレスであり、ホストアドレスとしては「任意のアドレス」や「アドレス未割当」を意味し、ルーティングにおいてはデフォルトルートを表します。これらの特性を理解することで、ネットワークの設定やプログラミングにおいて、より柔軟で効果的な操作が可能になります。

脚注

RFC 1122 では、`{0,0}` という表記で `0.0.0.0/x` （xは0から32の任意の数値）を表しています。この表記は、ホストが自身のIPアドレスを学習するための初期化手順の一部として、ソースアドレスとしてのみ使用されるべきであると規定されています。

外部リンク

0#section-2.1'>Special Use IPv4 Addresses - IETF

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