001/7 チーズに愛をこめて

『001/7チーズに愛をこめて』（The Mouse from H.U.N.G.E.R.）は、1967年に制作された『トムとジェリー』シリーズの一編です。監督は、数々の名作を世に送り出したチャック・ジョーンズが務めています。

物語は、深夜11時、とあるタバコ屋のレジスターの中に秘密基地を構えるスパイ、ジェリーから始まります。ジェリーは、彼の専用車で猛スピードでタバコ屋へと向かいます。レジスターの中は、なんとミニ映画館になっており、そこでジェリーは新たなミッションを託されます。

映し出された映像は、怪しげな城と、チーズで満杯の冷蔵庫。ミッションの内容は、トム・スラッシュの城に潜入し、チーズを奪取することでした。挑戦状とも言うべきこの映像に、ジェリーはすぐに任務遂行へと乗り出します。

一方、ジェリーの接近を察知したトムは、城への道を様々な罠で封鎖します。道中には、爆弾を搭載したメスネズミ型ロボットや、様々な仕掛けが待ち受けていますが、ジェリーはそれらを軽々と回避していきます。

ジェリーはついに城に侵入。しかし、トムは冷蔵庫をテレビに偽装し、その部屋に通じる広間には赤外線センサー、地雷、機関銃など、ありとあらゆるトラップを仕掛け、万全の態勢でジェリーを待ち構えていました。

ところが、ジェリーはトムの仕掛けた罠を無視し、城の外でテープレコーダーを使って足音を聞かせます。トムはジェリーが罠を回避したと思い込み、勢いよく罠だらけの広間へ飛び込んでしまいます。しかし、当然のごとく、自らの仕掛けた罠に次々と引っかかり、散々な目に遭うのです。

自滅したトムは、ついに冷蔵庫を元の場所に戻し、降参を表明します。ジェリーのミッションは見事に成功。トムはテープレコーダーで葬送曲を流しながら眠りにつきます。ジェリーは、冷蔵庫ごとチーズを奪い、満足げに城を後にします。エンディングでは、ジェリーの車のナンバープレートに「THE END」の文字が現れ、物語は幕を閉じます。

登場キャラクターは、城の主であるトムと、スパイのジェリーが中心です。トムは、監視システムでジェリーの侵入を察知し、様々な罠を仕掛けますが、ジェリーの知略の前にことごとく敗れます。ジェリーは、トムの罠を巧みに回避し、最終的にチーズを奪取します。

その他にも、トムが仕掛けた罠として、爆弾を搭載したメスネズミ型ロボットが登場します。このロボットは、ジェリーがキスをすると爆発する仕掛けになっています。また、タバコ屋の前には、内部にネズミ用のエレベーターが隠された人形があり、ジェリーはこの人形を使って城へと向かいます。

この作品は、チャック・ジョーンズ監督独特のユーモアと、緻密に設計された罠の数々、そしてジェリーの機転とトムの自滅という、見どころ満載の短編アニメーションです。スパイ映画のパロディとも取れる、独特の世界観が魅力的な一作となっています。緻密な罠と、それを軽々と回避するジェリーの動き、そして自滅していくトムの姿は、何度見ても笑える、何度見ても飽きない、そんな魅力に溢れています。トムとジェリー作品の中でも、特に傑作として名高い作品の一つと言えるでしょう。

もう一度検索